【開催見解】金沢競馬 県営第10回[通算第12回]後半(9/4・6 重賞:イヌワシ賞)
2016年度・第12回の金沢競馬は前半週が終了。残すは後半週、9月4日(日)・6日(火)の2日間。
4日(日)のメイン11Rは「JRA認定 サファイア賞」(2歳・金沢デビュー馬・1500m)
1番 アクティブムーン 吉原寛人
2番 シュヴァルミニョン 中島龍也
3番 ソルティードラゴン 栗原大河
4番 ゴールドハリアー 桑野等
5番 イチャキナ 堀場裕充
6番 ベアームート 吉田晃浩
7番 エニュオ 田知弘久
8番 ゼイタヴィクトリエ 松戸政也
前開催に続き今季2度目のJRA認定戦は距離が1500mに。次回のプリンセスCなど、ここからは重賞が続く日程。無傷の4連勝中で圧倒的な強さのヴィーナスアローはここをパスしたが、新馬戦から好走している5頭が圏内で、その中でも主力は2頭。
ゴールドハリアーの前走は序盤で折り合いを欠き、加えてヴィーナスアローを相手に勝ちに行く競馬をした結果、2着を確保できなかったが、今後の糧になりそうなレース内容。まだ未完成は否めないものの、素質十分の馬体。上昇の余地は大きい。
ベアームートは新馬戦でゴールドハリアーに勝っており、唯一敗れたのはヴィーナスアローとの対戦。前開催をパスして、1週前に終いを伸ばす追い切り、直前は馬なりの調整。これはテンションが上がりすぎない配慮で好感が持てる。スピードで押す競馬だが、並ばれてからも渋太く、楽逃げだった前走より時計を詰めて当然。
エニュオをまだ心身共に若く、4着の前走も最後はササり気味。が、裏を返せば伸びしろが大きいということ。スムーズな競馬ができれば上位は争える。
取消明けを叩いたアクティブムーンも素質的には上記馬に負けていない。取消明けの前走が負けすぎで半信半疑も、少なくとも追い切りは少し強化。スムーズに走れれば変わる可能性はある。
6日(火)のメイン(11R)は「重賞 北國新聞社杯 第12回イヌワシ賞(白山大賞典トライアル)」(3歳以上・地方全国交流・2000m)
1着馬には2開催後の10月4日(火)「第36回白山大賞典」(Jpn3)への優先出走権が与えられる。
過去5年の優勝馬は
2011第7回 金沢・ジャングルスマイル(牡5)…吉原寛人騎手 稍・2分02秒4
2012第8回 金沢・ナムラダイキチ(牡4)…畑中信司騎手 不・2分06秒6
2013第9回 金沢・サミットストーン(牡5)…吉原寛人騎手 良・2分10秒1
2014第10回 金沢・セイカアレグロ(牡9)…吉田晃浩騎手 不・2分10秒2
2015第11回 金沢・ジャングルスマイル(牡9)…平瀬城久騎手 不・2分10秒0
第4回までは東海・近畿・中国の地区交流重賞、第5回から全国交流重賞に。第8回から従来の1900mから2000mに距離が変更された。
第1回は名古屋・角田厩舎のワンツーだったが、第2回と第3回は地元馬のワンツー、第4回は笠松所属馬が勝利し、2・3着は地元馬。暑い最中の輸送があるだけに遠征馬が手薄になりがちで、東海・近畿・中国の地区交流重賞として行われた時代は地元馬も健闘。リニューアルした2009年は名古屋→兵庫→笠松の1~3着、2010年は笠松勢が1~3着だったが、2011年は地元馬が1~3着を独占、2012年は金沢→笠松→金沢の決着、2013年は金沢→高知→高知、2014年は地元馬が1~3着を独占でセイカアレグロとケージーキンカメのマッチレースに沸いた。2015年は1着ジャングルスマイル、2着は兵庫のエーシンクリアー、3着がコスモマイギフトの決着。全国交流になってからも遠征馬は東海・兵庫・高知からが大半で(2012年に初めて南関東勢が参戦したが5着と8着)、地元の有力馬が出走すれば好走傾向あり。
今年のメンバーは、
他地区
ブランクヴァース(高知)…西森将司
ビービーガザリアス(笠松)…藤原幹生
ミッキーヘネシー(高知)…畑中信司(高知)
エーシンクリアー(兵庫)…田中学
アクロマティック(兵庫)…下原理
金沢
グルームアイランド
ジャングスマイル
トウショウプライド
トニーポケット
コスモマイギフト
バルタンセージ
昨今の交流重賞は兵庫勢が席巻。ここも中長距離路線では屈指の存在と言えるアクロマティック、エーシンクリアーが参戦してきた。特にアクロマティックは昨秋からの快進撃が目立ち、今年は名古屋1900mと園田1870mで重賞3勝。4走前のJpn3名古屋大賞典ではJRA馬を1頭負かしての5着。気難しいタイプには映るが、末脚の威力は地方屈指だろう。夏場に輸送距離が長くなってどうかだけの状況だろう。昨年2着のエーシンクリアーは3走前の兵庫大賞典でアクロマティックに勝っており、前々走・名港杯もゴール寸前で差されただけ。スンナリ先行に持ち込めば強く、崩れる要素は少ない。
ただ、今回は地元勢も強力ラインナップ。金沢の両雄、グルームアイランド、ジャングルスマイルが登場。グルームは前走でまさかの敗戦を喫したが、2ヵ月ぶり。今季は勝負所の反応が鈍いものの、ひと叩きした格好の今回は違った走りを見せてくれるはず。ジャングルは勝った6月の百万石賞以来の登場で、7月以来で勝った昨年より休みが長くなったが、適当なレースがなかっただけ。気配自体は悪くない。得意の雨馬場なら先行争い一つ。
実力的には4頭の争いだろう。ただ、昨年3着時のように雨馬場になればコスモマイギフトも上位進出可能で、百万石賞9着以外は当地負けなしで前走A2圧勝のバルタンセージも楽しみな存在だ。
(文:競馬カナザワ 大井明洋)