ダートグレード競走：エンプレス杯（JpnII）2021

「冬を締めくくる牝馬同士の熱い闘い」

　年間を通して行われるダート牝馬路線。その最大目標である昨秋のＪＢＣレディス クラシックはファッショニスタが有終の美を飾ったが、それ以外のレースでは今回出 走するメンバーを含めて一進一退の攻防が繰り広げられている。当然今回も牝馬路線 の顔が揃い、その動向から目が離せない一番となった。

　川崎2100メートルという舞台に注目してレーヌブランシュに◎。昨年の関東オーク ス（川崎2100メートル）では、南関東牝馬三冠が懸かったアクアリーブルを破っての 堂々戴冠。その後、古馬相手となってからは勝ち切れていないのは何とも歯痒いが、 決して大きく崩れているわけでもない。この舞台には一日の長があるとみれば、逆転 があっても不思議はない。先日逝去した父クロフネに捧げる勝利を期待したい。

　昨夏にダート路線に転向後、２戦目でレディスプレリュードを制したマルシュロ レーヌが相手筆頭。敗れた一戦は先述のＪＢＣレディスクラシックのみだし、年明け 緒戦のＴＣＫ女王盃を制して益々波に乗る一方。ただし、地方ダート３戦は全て大井 の1800メートルで、今回の川崎2100メートルは未知の領域。コーナー６つで器用さが 要求される舞台をいかにこなせるかがカギ。そこに容易く順応するようであれば、 アッサリ勝つ場面も。

　３歳の関東オークス以降は一貫してダート牝馬路線を歩み続けるマドラスチェッ ク。勝鞍は昨年のＴＣＫ女王盃のみというのは意外だが、堅実な走りを続けている点 は注目。川崎2100メートルにも好走歴はあるし、好枠からロスなく運べれば今回も上 位へ食い込むことは容易に想像できる。

　明け８歳になったプリンシアコメータは年明け緒戦のＴＣＫ女王盃で３着と衰え皆 無を証明。しかも58キロの斤量を背負ってのものだから、その価値は一層高く評価で きる。勝ち馬マルシュロレーヌと今回は同斤量なら、経験値にモノを言わせる場面が あってもいい。

　逃げ先行馬多数の中でも、陣営が「ハナに拘る競馬を」と語るローザノワールが怖 い存在。同型を捌き切れればの条件はつくが、穴目で注目したい。 　下級条件から着実に勝ち上がり、前走で重賞初制覇のダノンレジーナも注意は必要 な一頭。


◎レーヌブランシュ
○マルシュロレーヌ
▲マドラスチェック
△プリンシアコメータ
△ローザノワール
△ダノンレジーナ

(ケイシュウＮＥＷＳ　石井　一治)

67回目を迎える「エンプレス杯（JpnII）」は、現在牝馬限定のダートグレード競走の中では最も歴史のあるレースです。過去の勝ち馬にホクトベガ、ファストフレンド、アムールブリエといった女傑が名を連ねていることにも歴史の一片が伺えます。昨年はJRA所属のアンデスクイーン号が、最後直線で先行する2頭を捉え重賞3勝目をマーク。今年も名牝たちに続けと、2100ｍの川崎を舞台に、Empress（女帝）の座を賭けた戦いが始まります。