ジャパンダートダービー (JpnI) 2023｜特集

「語り継がれる最後のジャパンダートダービー馬は…」

　今年の２歳戦から始まるＪＲＡと地方競馬の垣根を超えた「全日本的なダート競走の 体系整備」により新たな３歳ダート三冠競走が創設されるため、今年が「ジャパン ダートダービー」の呼称としては最後。 来年から「ジャパンダートクラシック」へ改称のうえ、10月上旬に時期を変更して行われる。 昨年は武豊騎手騎乗のノットゥルノが勝利して１着～４着までＪＲＡが独占。東京 ダービー２着馬クライオジェニックが地方最先着の５着。 過去10年の勝ち馬はＪＲＡ勢８頭、地方勢２頭（ともに船橋所属）だから圧倒的にＪＲＡが優勢ではあるが、一昨年は12番人気（単勝１２９.５倍）のキャッスルトップが逃げ切って大波乱を演出。地方勢だからといって一概に軽視はできない。

無敗で東京ダービーを制覇した地元大井のミックファイア◎。２００１年に当レース を無敗で制したトーシンブリザード（当時の四冠馬）以来の大物と呼ぶのは時期尚早 かもしれないが、これまでの戦績（２冠がレースレコード）からもその可能性を秘め ている。 振り返ると、新馬戦と条件戦を５馬身差の逃げ切り勝ち。３戦目の特別戦は、のちの 京浜盃馬サベージの猛追を尻目に３馬身差の完勝。難なく３連勝とここまでは順風満 帆。一般的な流れなら各々のトライアルレースや雲取賞、京浜盃から一冠目の羽田盃 へ向かうののが常だが、当時は爪の状態が芳しくなく調整に苦労。坂路がある外厩調 整に切り替える判断が奏功し、クラシック一冠目へ駒を進めることができた。そして 羽田盃は世代をリードしてきた１番人気ヒーローコールを６馬身差で撃破。無敗で迎 えた東京ダービーは着差こそ同じでも、圧倒的な強さを見せて南関東に怪物誕生の狼 煙を上げた。 今まさにデキは最高潮なら、ＪＲＡ勢との激戦を制して最後の「ジャパンダートダー ビー」として後世まで語り継がれる。

対抗は、かなりのポテンシャルを秘めるユティタム。唯一の敗戦はデビュー戦のみだが、 その１着馬ペリエールは先日のユニコーンＳを完勝。以降は危なげなく３連勝。 ステッキを入れたのは未勝利戦の一度のみと底を見せていない。中間は入念に乗込ん で仕上りに抜かりなし。母ジペッサが米国芝Ｇ１勝ち×父Ｊustifyがケンタッキー ダービー含む米国ダートＧ１４勝と血統面でも注目の好素材。無敗の三冠制覇へ挑む ミックファイアに待ったをかけるのはこの馬だ。

３番手評価は、圧倒的な逃げで３連勝中のミトノオー。テーオーリカードの出方次第 になるが、逃げの手に出るのは間違いなくこの馬。地方の馬場は前走の兵庫チャンピ オンシップで経験済みだし、伏竜ステークスの勝ちタイムは翌日のマーチステークス にコンマ５差と優秀（どちらも不良馬場）。ポテンシャルの高さでは上記２頭にヒケ を取らない。連覇を狙う武豊騎手の手綱捌きにも大注目。

上記３頭が前々でやり合えばオーロイプラータの末脚炸裂だし、全日本２歳優駿では ＵＡＥダービー馬デルマソトガケやペリエールと接戦のオマツリオトコは実績で劣ら ない。キリンジもダート転向後はレース毎に力を付けており侮れない。△馬も展開ひとつで台頭がありそうだ。


◎ミックファイア
○ユティタム
▲ミトノオー
△オーロイプラータ
△オマツリオトコ
△キリンジ

（ケイシュウＮＥＷＳ　堀越　裕己）

今年も、ダート3歳世代の頂点を決める戦いが始まる。 過去の優勝馬にダノンファラオ、クリソベリル、ルヴァンスレーヴなど日本ダート界のビッグネームがズラリと並ぶダート日本一決定戦。昨年は4番人気のJRA所属・ノットゥルノ号が並み居るライバルを下し、ダート3歳世代の頂点に立ちました。 いよいよ来年からは10月へと開催時期が移り、「ジャパンダートクラシック」へ。歴史の節目となる本大会を制する馬は果たしてどの馬か。どうぞご期待ください！！