【開催見解】第7回水沢競馬(11/11~20 重賞:南部駒賞、ダービーグランプリ)

【開催見解】第7回水沢競馬(11/11~11/20)

 

 平成29年度の第7回水沢競馬は11月11日から前半3日間、11月18日から後半3日間の計6日間開催される。

 

 前半週の最注目レースは2日目(12日)に行われる、伝統の2歳最強馬決定戦・重賞『第45回南部駒賞』ダート1600m。フルゲート=12頭に対して登録馬は14頭。
 地方全国交流競走ということで、層が厚い北海道から5頭が登録。
 前哨戦・知床賞(盛岡ダ1400m)を快勝してここへの優先出走権を獲得したスタークニナガは1000mしか距離経験がなかったが、見事な決め脚を発揮。410キロ台と牡馬にしては小柄だが、ここにきて一気に力をつけてきた模様。この馬の勝利により今年は道営馬のレベル上位と推察される。
 知床賞2着のヒガシウィザードはスタークニナガの決め手に屈したが、好位でレースを作ったのはこの馬。こちらは距離が延びた方が良さそうなタイプ。もうひと押ししてみたい素材。
 マッドドッグは川崎の地方全国交流重賞・鎌倉記念の2着馬。勝ち馬に早めに並びかけられる厳しい展開のなか2着を死守しており、地力は全国区。そして小回り・水沢向きのタイプと目される。有力候補の1頭。
 ダモンデは同じく鎌倉記念に遠征して12着と大敗したが、スタートで大きく躓き、鐙が外れレースにならなかったモノ。500キロを超える大型馬で高い先行力の持ち主。巻き返しあって不思議ない素材。
 ゴールドシンボルは重賞出走歴こそないが、ここ4戦で3勝。前々走のオープン戦では前記・ヒガシウィザードに先着しており、前走は1700mの上級認定競走を勝ち切っている。距離経験はこの馬が最も豊富であり、上位争いに加わってきそうだ。
 地元勢。知床賞はこのところずっと道営勢の後塵を拝しているものの、このレースの牙城は守るのが例年のパターンだが、今年はどうだろうか…。期待は道営からの移籍組になりそう。移籍緒戦の若駒賞(盛岡ダ1600m)を快勝したニッポンダエモンは昨年の覇者・ベンテンコゾウの全弟。道営実績では遠征組に劣るが、デビューから20キロ以上馬体を増やしており、ここにきての成長急。移籍緒戦の2歳B1戦(盛岡ダ1400m)を9馬身差で圧勝したスターギアにも大駆けの期待がかかる。
 なお、この競走はJRA「皐月賞」ブロック代表馬選定競走となっており、優勝馬は東北ブロック代表馬として来春の皐月賞トライアル競走に駒を進めることができる。

 

 後半週の最注目レースは5日目(19日)に行われる、3歳馬による地方全国交流競走・重賞『第30回ダービーグランプリ』ダート2000m。フルゲート12頭に対して登録馬は16頭。
 登録順に、大井のクラキングスは道営デビューで羽田盃5着、東京ダービー9着、黒潮盃4着。9月15日には大井2000mのB1特別を勝ち上がっており、レベル比較では主力級に推される存在だが、問題は前走の3歳準重賞・スターバーストカップ。1番人気に支持されながら心房細動で競走中止しており、この点はどうしても気掛かりだ。
 同じく大井のサイバーエレキングは2歳時にハイセイコー記念3着、5月の東京湾カップ3着の記録があるが、東京ダービー15着、黒潮盃14着、戸塚記念13着とこのところ大きな着順が続いている。現状では自分のペースで先行できないと力を発揮できないのかもしれない。小回り水沢コースでは怖さがあるタイプではあるが…。
 北海道のストーンリバーは2歳時に川崎の鎌倉記念を勝ち、北海道2歳優駿(Jpn3)4着。今年は道営3冠=北斗盃2着、北海優駿5着、王冠賞2着。タイトルに手が届かなかったが、岩手からの刺客・ベンテンコゾウがいなければ最低でも北斗盃は獲れていたことになるだろうか? 7月以降は古馬A1級で4戦して3,2,3,3着と崩れなし。計算できる存在。
 同じく北海道のスーパーステションは2歳時はタイトルに手が届かなかったが、年が明けると馬体を増やして一変。今シーズンはここまで7戦6勝。3冠で唯一出走した最終戦・王冠賞(門別1800m)は2着のストーンリバーに7馬身、3着のベンテンコゾウには10馬身差をつける圧勝だった。勢いに乗って一気に全国区へ名乗りを揚げるか?
 高知のフリビオンは19戦15勝。4月からただいま9連勝中で、黒潮皐月賞、高知優駿をともに楽勝。秋は3冠目の黒潮菊花賞には向かわず、佐賀の西日本ダービーに駒を進め、やはり快勝。いよいよ全国レベルの舞台となるが、9月の珊瑚冠賞で古馬のトップクラスを一蹴している。マイルあたりまでは追走にかなり手間どっており、現状では今回の2000mあたりがベストの距離といった雰囲気。差し脚は今年のメンバーでナンバーワン。
 金沢のムーンファーストは14戦6勝、2着7回。前走の西日本ダービーで前記・フリビオンの2着。8月の3歳交流重賞・MRO金賞(金沢1900m)をヤマミダンス相手に逃げ切っており、戦歴はここに入っても見劣るものではない。課題があるとすれば9月のサラブレッド大賞典で殿り負けを喫している点。今回の登録馬は先行型が多く、自分の展開に持ち込めるかどうかが鍵になりそう。
 迎え撃つ地元勢はツートップ。5戦4勝で2歳シーズンを終えたベンテンコゾウは今シーズンは道営3冠に矛先を向け、北斗盃(門別1600m)、北海優駿(門別2000m)をともに2馬身差で快勝。3冠は当確と思われたが、門別への長距離輸送3連闘は想像以上に過酷で、王冠賞は本来の行きっぷりを欠き、3着と敗れていた。回復度が問われた前開催の古馬A1戦はゴール際まで余裕の手応え。あの走りっぷりなら本番でも期待して良さそうだ。
 キングジャガーはベンテンコゾウ不在の地元の3歳戦線で無敵を誇った。4月のやまびこ賞(盛岡ダ1800m)→ダイヤモンドカップ(水沢2000m)→イーハトーブマイル(盛岡ダ1600m)→不来方賞(盛岡ダ2000m)と、ただいま重賞ばかり4連勝中。不来方賞の勝ちタイムは2000mとなった1993年以降で最速。勝っても勝っても「この世代の最強馬はベンテンコゾウ」と言われてしまうが、ベンテンコゾウとはここまで未対戦。評価を変えさせるには格好の大一番となる。

 

 

(文:エイカン 内山達明)

 

岩手 エイカン

 

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