【開催見解】第16回門別競馬(11/13～15 重賞：イノセントカップ、ブロッサムカップ、道営記念）

第16回門別競馬展望
　前開催は10月30日に第５回サッポロクラシックＣ、11月１日に第45回北海道２歳優駿が行われた。サッポロクラシックＣはテンから積極的に逃げたスティールティアラ、その２番手を余裕を持って追走したエムオータイショウが直線１ハロン過ぎに楽々と抜け出す文句なしの勝ちっぷりで重賞初制覇。同日の古馬Ａ２以下の勝ち時計よりも１秒以上も速い決着だから、短距離戦なら全国区でも通用するだろう。北海道２歳優駿はウィンターフェルとイグナシオドーロがＪＲＡ勢をモノともせず３着以下に５馬身の差をつけた。後味の悪い結末とはなったが、ホッカイドウ競馬の２歳のレベルの高さを改めて実感できたのは言うまでもない。さて、震災のために開催中止を余儀なくされたあと、11月13日から15日までの３日間が追加開催。最終日に行われる古馬最高峰の道営記念をメインに、いよいよ、今年度の最終週を迎えた

【重賞レース】
○11月14日12Ｒ　第18回イノセントカップ　２歳オープン　距離1200ｍ
１．キスミーローズ
２．グリードパルフェ
３．グローリアスライブ
４．ライトニングボルト
５．レコードチェイサー
６．エムオータイショウ
７．ルマーカーブル

【展望】僅か７頭立ての少頭数になったが、前開催のサッポロクラシックカップを好時計で大楽勝を演じたエムオータイショウが中１週のローテーションで挑む。５００キロ前後の大型馬であり、この中間も疲れを見せず順調な調整過程だから、この馬の持てる存分のスピードを披露してくるに違いない。冒頭にも書いたが、短距離戦なら全国区でも通用するほどの器に育っている。相手は川崎の鎌倉記念で大敗を喫したルマーカーブル。遠征から帰ってからも順調。距離を短縮して大きく変貌を遂げるはず。キャリアを積んで、まだ上昇の余地があるグリードパルフェの場合は、末脚の良さを生かせる展開になるかどうかが焦点。レコードチェイサーの願いは軽い馬場になってほしい、これ一点に尽きる。

（厩舎の談話）
１．キスミーローズ　前走のレース内容には見どころがありました。多頭数で不本意な位置で追い上げてきたのは褒めていいでしょう。ここは楽しみがあります。
２．グリードパルフェ　前走の終いの脚は見どころがありましたが、前半のロスが大きかったですね。状態は悪くないですから、少しでも真面目さが増せば。
３．グローリアスライブ　前走は気持ちが前に出過ぎてタメを作れませんでしたが、今後につながるレース内容でした。決め脚を生かす作戦で上位を目指します。
４．ライトニングボルト　頭数が多くないようなので挑戦することにしましたが、速い馬が揃っていますので、どこまでやれますか。今後につながればと思います。
５．レコードチェイサー　前走は前が詰まって競馬にならなかったです。状態が良かっただけに悔やまれます。スムーズな運びができれば好勝負になるはずです。
６．エムオータイショウ　前走は目一杯に動かしていればレコードを更新できたかもしれません。精神面が成長して、操縦性の高さは群を抜いています。
７．ルマーカーブル　鎌倉記念は初めての輸送競馬で初コースでしたから、いつもの走りができなかったのでしょう。地元戦なら実力を出せるはずです。

○11月15日11Ｒ　第６回ブロッサムカップ　２歳牝馬オープン　距離1700ｍ
１．アイリスステップ
２．ナラ
３．グレイアンジェラ
４．ハッピーアロー
５．タイムゴールド
６．アブソルートクイン
７．イージーナウ
８．スズカユース
９．クリスマスベル

【展望】昨年は内回り1600ｍで行われたが、今年は外回り1700ｍに変更されている。グレイアンジェラはデビュー戦を飾ったあと、前走のエーデルワイス賞まで、すべて牝馬限定戦の重賞に照準を合わせてきた。内回り1600ｍで唯一、着を外しているが、十分に脚をタメる競馬ができれば、血統的にはこの距離はこなせるはず。その内回り1600ｍのフローラルカップを制したスズカユースは、一線級の牡馬相手となった北海道２歳優駿で大きく崩れているが、牝馬限定戦に戻れば話は別。月１走のローテーションを守られているタイムゴールドにも、まだ伸びしろは十分あるし、うまく先行ペースの流れになるようなら、イージーナウの粘り込みがあっても不思議ではない。

（厩舎の談話）
１．アイリスステップ　重賞で活躍している馬が相手ですから、どこまでやれるか、というのが本音です。デキの良さを生かし切れば、食い下がれそうな気もします。
２．ナラ　今のところは、前々走のようなレース運びが理想のパターン。じっくりとタメて直線でどれだけ追い上げることができるか、その頑張りに期待しています。
３．グレイアンジェラ　エーデルワイス賞は追い込み切れなかったものの、持ち味と実力は示せたレースでした。1700ｍですが、序盤をうまく運べば大丈夫です。
４．ハッピーアロー　ゲートもスッと出られるようになり、一戦毎に力をつけています。今回は初距離で相手も格段に強くなりますから、力試しの一戦ですね。
５．タイムゴールド　前々走は内回り大外枠、前走は1200ｍ最内枠。いずれも枠順に泣かされました。外回り1700ｍは合うと思います。ウップンを晴らしたいです。
６．アブソルートクイン　重賞となると少し荷が重い感じはありますが、コーナーを４つ回るレースの経験値は上ですから、そこに期待したいですね。
７．イージーナウ　前走の内容を見ると、競馬を覚えてきた感じです。軽い馬場になりそうな状況ですから、この馬には好条件。そこそこの期待は持っています。
８．スズカユース　前走は牡馬が相手で揉まれ込む競馬になりましたし、流れも厳しかったですから気持ちが続かなかったのでしょう。牝馬同士で改めて期待します。
９．クリスマスベル　本当に良くなるのはまだ先だと思いますが、素質は重賞でもヒケを取らないものを持っています。現状でどこまでやれるか楽しみです。

○11月15日12Ｒ　第61回道営記念　３歳以上オープン　距離2000ｍ
１．センコーファースト
２．アポロストロング
３．スーパーステション
４．エスシーレオーネ
５．タービランス
６．ハッピースプリント
７．ステージインパクト
８．タイムビヨンド
９．スカイロックゲート
10．ドラゴンエアル
11．クオリティスタート

【展望】今年、南関東の遠征から帰ってきたスーパーステションは、コスモバルク記念を皮切りに、マイル以上の古馬重賞を選択して負け知らずの５連覇という快挙を成し遂げ、いよいよ、ホッカイドウ競馬の頂へと歩を進めてきた。初めての対戦となった瑞穂賞でも実績馬ハッピースプリントを容赦なく封じ込めるなど、自分から動いて他を圧倒するレースは、完全に本格化した印象。道営の王者になって更なる次のステップを踏む。相手の筆頭はハッピースプリントの巻き返しと判断したが、秋以降、順調に使われてきたドラゴンエアル、タービランスの両馬にも食指が動く。昨年の覇者ステージインパクトも距離適性を考えると、３連単、馬単の連下には、是非とも押さえておきたい。

(厩舎の談話)
１．センコーファースト　成長ぶりは目を見張りますが、それだけで通用する相手ではありませんからねえ。このメンバーを相手にどこまでやれるか、試金石です。
２．アポロストロング　前走で連勝が止まりましたが、展開に恵まれないケースもあるのが競馬ですから、気に留めていません。どういう走りができるか楽しみです。
３．スーパーステション　ここまでの軌跡を考えると、他馬のマークがきつくなるのは仕方がないでしょう。しっかりと受けて立ちます。自信を持って臨みます。
４．エスシーレオーネ　実績では見劣りは否めませんが、ファン投票で選ばれたのですから、その期待に恥じないレースはさせたいです。見せ場は作ります。
５．タービランス　パフォーマンスのレベルがグッと上がりましたが、今回は更に良くなる手応えがあります。好メンバーですが、相手に取って不足はありません。
６．ハッピースプリント　前走は典型的な２走ボケ。１週前の併せ馬ではいい動きで予定通りの調整ができました。完全に戦闘モード。本来の力を見せるつもりです。
７．ステージインパクト　プラン通りに調整ができました。昨年以上のデキで臨めると思います。昨年のチャンピオンとして恥ずかしくないレースはできるはずです。
８．タイムビヨンド　多様なレース運びで結果を残してきましたが、一番の持ち味の決め脚を最大限に生かします。ベストパフォーマンスなら勝機もあるはずです。
９．スカイロックゲート　シーズン最後の大一番ですから、出走できるのは名誉なことです。強豪揃いですが、適距離なので自分の競馬をやり切ってもらいたいです。
10．ドラゴンエアル　ライバルが多いレースになりましたが、他力本願ではなく、これまで通り自力で勝負に挑みます。2000ｍなら必ずチャンスがあるはずです。
11．クオリティスタート　後方で自分のペースを守れば、ラストは確実に脚を伸ばせますから、気負いのない運びで臨むつもりです。この馬の力を出してくれれば。

【初日特別レース】
○11月13日11Ｒ　ゼラニウム特別　３歳以上Ｂ１－２組以下　距離1800ｍ
１．ビービーボヌール
２．パイオニアゴールド
３．アースハーン
４．マハロ
５．コスモアジル
６．カサマツブライト
７．バトルハクオウ
８．タイセイドライヴ
９．イーゼル
10．パッション
11．センノデバギヤ
12．アメリカンヘブン

【展望】中央５００万クラスからの転入となったアメリカンヘブン。２走ともにあとひと押しが利いていないが、緒戦よりも確実に内容が良くなっているし、坂路の動きも上昇。叩き３走目でジャンプも見込めるはずだ。実績面では指折りのパイオニアゴールド、門別1800ｍでは８勝をマークしているコスモアジルの両馬が逆転を目論む。マイペースの逃げが打てるかどうかは微妙ながらも、マハロの粘り込みにも注意が必要。

（厩舎の談話）
１．ビービーボヌール　ここ２走は踏ん張りがが利いていません。メンタルに課題があるかもしれません。
２．パイオニアゴールド　気配的に少し物足りなさを感じます。恥ずかしいレースはしないと思っていますが。
３．アースハーン　良化途上というレースぶり。距離延長で追走は楽になりそうですが、格上挑戦なので。
４．マハロ　連闘に若干の不安は覚えますが、格上挑戦でも、自分の競馬をやり切れば差はないと見ています。
５．コスモアジル　取消後でも力を出せる状態。時計勝負になると厳しいかもしれませんが、流れてくれれば。
６．カサマツブライト　前走は力のあるメンバーが揃っていました。この組み合わせなら見直せると思います。
７．バトルハクオウ　前走は出脚が良かったのが裏目に出ました。末脚に懸ければ、食い下がれると思います。
８．タイセイドライヴ　レース内容は良くなってきました。連闘で格上挑戦ですが、距離は大丈夫です。
９．イーゼル　1800ｍだと自分のリズムとペースを守ることが必要になってきます。同タイプが気になります。
10．パッション　現状のこの馬なりには安定して走れています。上位となると少し決め手が足りませんね。
11．センノデバギヤ　良化の度合いが予想よりも遅いんです。最終戦だけに、何とか前進してほしいですが。
12．アメリカンヘブン　この２戦ともに能力を出している感じがしません。変わる要素はあると思っています。

○11月13日12Ｒ　ＡＩＲ－Ｇ’馬ＭＯＲｉ特別　３歳以上Ａ２－２組以下　距離1200ｍ
１．マイティキング
２．ムカワシシャモ
３．ソルサリエンテ
４．シセイカイカ
５．マックスガーデン
６．トドイワガーデン
７．ドランケンマスター
８．キタアルプス
９．レクラドリール
10．ラブフルーツ
11．バリスコア
12．イーグルアモン

【展望】ソルサリエンテは中央再入厩後の成績が振るわず、今夏にホッカイドウ競馬に戻ってきたわけだが、昨年が６連勝、今年がここまで５連勝。門別1200ｍでは目下、無傷の11連勝中という驚異的な数字を残している。好位から測ったように差し切るあたりは、まさに本物の強さと言えるだろう。勝って同条件でもあり、今季の最終戦も勝利で飾れそうだ。短距離戦の安定感は屈指のムカワシシャモとキタアルプスが相手で順当な一戦か。うまく先行ペースに乗れれば、トドイワガーデン、マックスガーデンも軽視することはできない。

（厩舎の談話）
１．マイティキング　良化度合いがスローで本来の走りができていません。もう少しやれていい馬なんですが。
２．ムカワシシャモ　相手強化が課題ですが、自分のペースが守れさえすれば、見劣らないと思うんです。
３．ソルサリエンテ　前走はこれまで以上に強さを感じました。負かした相手ですから強気になれますね。
４．シセイカイカ　前走は悪くない内容でした。終いは確実に伸びてきます。嵌まるかどうかでしょう。
５．マックスガーデン　寒くなって動きにはやや硬さが出てきました。最終戦なので頑張ってほしいですが。
６．トドイワガーデン　安定感はあるのですが、勝ち切るだけのパワーが少し足りないのかもしれません。
７．ドランケンマスター　展開が向くようなら浮上の余地はあると思いますが、時計面で少し分が悪いですね。
８．キタアルプス　同じ相手とまたぶつかるので楽ではないですが、今年最後を勝利で飾りたいものです。
９．レクラドリール　流れに乗れるようになり走りも良くなってきました。ひとつでも着順を上げたいです。
10．ラブフルーツ　順調に使えていますが、良化が緩やかです。格上挑戦で厳しい戦いは覚悟しています。
11．バリスコア　調子は上向きなんです。タフな良馬場が見込めない状況は、この馬には好条件です。
12．イーグルアモン　体調面もレース内容も特に変わったところはありません。厳しい現状だと思っています。

（競馬ブック・松本英博）