【開催見解】第10回門別競馬(8/20～22・27～29 重賞：リリーカップ）
第10回門別競馬展望
前開催の重賞レースは、5日目に第19回エトワール賞、6日目には、第31回ブリーダーズゴールドカップと第6回フルールカップが行われた。エトワール賞は門別1200ｍ14勝のソルサリエンテと、短距離の適性ぶりを遺憾なく発揮した3歳牡馬ジョウランの一騎打ちムードだったが、好位でうまく流れに乗れたジョウランが、直線で独走の形に持ち込んでいる。短距離界に若き新星が誕生したと断言しても良さそうだ。今後の活躍に期待したい。統一ダートグレード競走のブリーダーズゴールドカップは、予想通り、1着～5着までJRA勢が独占したが、勝ったのは、初めての門別への遠征になったアンデスクイーン。昨年2着の1番人気プリンシアコメータは、自分から逃げ馬を捉えに行ったことが、最後の最後の詰めに影響したかもしれない。見応えのある一戦だった。2歳オープン牝馬によるフルールカップは、1000ｍ2戦2勝のコーラルツッキーが堂々と持てるスピードで押し切って、栄冠賞3着の無念を晴らしている。なお、この15日の1日の総売上が10億円を超えて、これまでのレコードを大幅に塗り替えた。ネット馬券攻勢は、まだまだ続きそうだ。
さて、今開催の重賞レースは、最終日の2歳牝馬によるリリーカップのみだが、前節2日目には、全国各地で繰り広げられている「ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド」が2レースが行われる。こちらも興味深い。
【重賞レース】
○8月29日 第16回リリーカップ登録馬 2歳オープン牝馬 距離1200ｍ
・コーラルツッキー
・バブルガムダンサー
・エンジェルパイロ
・プリモジョーカー
・テーオーブルベリー
・ミホスローロリス
・グローリアスレゴン
・ハニーリン
・アクアリーブル
・アップタウンローズ
・ティーズリープ
・ミリミリ
・ミナトノヨーコ
【展望】
前開催のフルールカップを好時計で逃げ切ったコーラルツッキー。中1週の競馬になるために、その動向が一番の関心事になりそうだが、適度なローテーションを守って前走のオープン特別を好位からズバッと差し切ったエンジェルパイロの方を重視したい。勿論、出走してくれば、コーラルツッキーは強敵になるが、函館2歳S、札幌のコスモス賞とJRAの芝から、2戦2勝のダートに戻るプリモジョーカーの巻き返しも十分にあるはずだし、栄冠賞を制したバブルガムダンサーの実績も認めなければならない。穴っぽいところでは、末脚に切れ味が出てきたミリミリが面白そう。
【初日特別3鞍】
○8月20日
1日目10R アルーダ日高西部特別 3歳以上 B4-2組 距離2000ｍ
1．ルフィアンキック
2．バトルハクオウ
3．アイアイヨークン
4．ディレットーレ
5．サンドアート
6．インディーズルアー
7．ビジューブランシュ
【展望】
ここにきて2連勝と完全に波に乗っているビジューブランシュ。前々走は自力で押し上げ、前走は好位追走、馬場の外目から測ったように差し切ったように、展開に左右されない自在脚質に一日の長がある。スンナリと先手が取れそうなルフィアンキック、距離延長で変わってきそうなバトルハクオウが逆転を狙う立場。勝ち味に遅いが大崩れのないインディーズルアーが連下候補。
（厩舎の談話）
1．ルフィアンキック 勝った馬のレベルを考えれば、前走は評価できます。距離は少し長いですが、ゆったり運べるようなら。
2．バトルハクオウ レース運びが難しく好調時の走りができていない現状ですが、距離延長がプラスに働く可能性はあると思う。
3．アイアイヨークン 減っていた体も戻しましたし、もう少しやれると見ていましたが、前走は案外な結果でした。
4．ディレットーレ まったく走る方に気持ちが向いていないという近走ですから、アテにできません。キッカケがほしいです。
5．サンドアート 前走は流れに乗れずに気持ちが切れました。長丁場では最後まで集中力を持続できるかが課題になりそうです。
6．インディーズルアー 中距離にシフトしてからの走りは安定。いつでも勝機があるという感じです。距離に不安がありません。
7．ビジューブランシュ ここへ来て具合が良くなっています。距離は問題なくこなせると思います。３連勝を目指したいですね。
1日目11R 北海道日高乳業ヨーグルッペ特別 3歳以上B4-2組 距離1200ｍ
1．ロイヤルアスカ
2．ヒシハムザリバー
3．ミネコガンバロウネ
4．オクシー
5．モスフラワー
6．ビービーガナール
7．オールウェイ
8．シーホース
9．レッドブラッサム
10．タケショウパイロ
11．ミコジェンヌ
12．メガミュトス
【展望】
モスフラワーは佐賀遠征から帰ってからも伸び悩みが顕著に表れていたが、3走前あたりから、終いの伸びに確実性が出て、それが前走の好走につながった感じ。坂路の動きは前走以上の迫力を見せており、デキを持ち直したのは確かである。相手は先行して粘り強いビービーガナールが有望だが、大外からうまく先制できれば、メガミュトスの食い下がりは警戒しなければならない。
（厩舎の談話）
1．ロイヤルアスカ 転厩2戦目になりますが、特に変わった感じはありません。大敗が続く近況から、強気にはなれませんね。
2．ヒシハムザリバー 前走は少し中途半端な競馬になってしまいました。もう少し我慢させれば、差は縮められたと思います。
3．ミネコガンバロウネ なかなか着順が上がってきませんが、ストレスのない先行が叶えばもっとやれていいですよ。
4．オクシー クラスが下がってきましたが、タイム的に見劣りしますからねえ。入着が精一杯という感じがします。
5．モスフラワー 走りっぷりを見る限り、もう立ち直ったと判断して良さそうです。いい気配ですから、勝機があると思いますよ。
6．ビービーガナール 前走は先手争いの強引さが裏目。それで大きく崩れないのですから、今回はキッチリと決めたいところです。
7．オールウェイ なかなか自分のレースをさせてもらえませんが、それでも崩れていません。ノーチャンスではないと思いますよ。
8．シーホース 短距離で終いを生かす競馬は板についてきましたが、いま少し鋭さがほしい感じ。展開が向けば差はないでしょう。
9．レッドブラッサム しんがり負けが続きましたし、着差が大き過ぎますね。ここも厳しいと思います。
10．タケショウパイロ 前走は躓いた他馬のアオリを受けて後手に回ってしまいました。スムーズなら、もう少しやれたはずです。
11．ミコジェンヌ 体重が減少傾向にありましたから、少し楽をさせて馬体の回復に努めました。流れ次第でしょう。
12．メガミュトス 前走は厳しい展開になりましたから仕方がないです。先手を取ってこそ、同型との兼ね合い次第になりそうです。
1日目12R ヴィットリオドーロ賞 3歳以上B4-3組以下 距離1200ｍ
1．グランロディア
2．フロースヒルデ
3．テルタイザン
4．アンテレクテュエル
5．エレノアカフェ
6．ラヴァクール
7．シンデレラマキ
8．カヤク
9．リボース
10．ヤマザクラ
11．ゴッドスパロウ
【展望】
フロースヒルデは中央再入厩後の内容は今ひとつだったが、再び、門別に帰ってからは、相手をまったく問題にせず2連勝。門別では負け知らずの5連勝を達成した。前走の時計も優秀だし、ここも単なる通過点になりそうだ。ズバリ、相手探し。今回、距離を短縮してきたアンテレクテュエル、減量騎手起用が魅力のヤマザクラが有力ながら、穴なら、エレノアカフェが面白い存在。
（厩舎の談話）
1．グランロディア 勝ち馬には離されましたが、前走の終いの伸びはこの馬本来のものでした。不振からは脱しましたね。
2．フロースヒルデ 前走も強い勝ちっぷりでした。クラスが上がりましたが、見劣りは感じません。3連勝も可能だと思います。
3．テルタイザン 近走はゲートの出も悪くなってきました。もう一度この距離を試しますが、大きな変わり身はどうでしょうか。
4．アンテレクテュエル 今回は1200ｍに使いますが、得意な距離ですからね。今の安定した状態なら上位を争えると思いますよ。
5．エレノアカフェ 決め手に欠いた感があった前走ですが、走りに粘りが出てきましたので、調子は上向きです。流れに乗って行ければ、そこそこやれる手応えがあります。
6．ラヴァクール 前走の直線での伸びは目立つものでした。続けて同じ脚が使えるかどうか何とも言えませんが、楽しみです。
7．シンデレラマキ 長い距離で意識的に控えるたこともあって、前走は行きっぷりが悪かったです。今回は変われますよ。
8．カヤク 短距離を２回続けたことで、追われての反応が良くなりました。ここも前走くらいは頑張ってくれそうです。
9．リボース 調教方法を少し変えたことで、2走前は進境が見られたんですが、好走が続きません。展開次第では……。
10．ヤマザクラ 適度な間隔を取ってコンディションを整えていますので、予定通りのローテーション。自分のペースが守れれば。
11．ゴッドスパロウ 気性的に、この距離のペースなら折り合いがつくと見ています。体調は上向き。変わり身を求めたいですね。
○8月21日 10R ヤングジョッキーズTR 門別第1戦 3歳以上C1-2組以下 距離1200ｍ
【注目馬】
タイキリヴェール……中央時は幼い面が露呈する格好になって勝ち切れなかったが、転入緒戦の前走は後方から外を回って豪快に追い込みを決めた。広く直線の長い門別の1200ｍはピッタリの印象。あの勝ちっぷりなら昇級の壁は存在しない。JRAの木幡育也騎手の騎乗予定。
（談話）
攻め馬の感触は前走時よりいいですね。昇級戦ですが、能力は十分に通用するはずです。乗り替わりも影響はないでしょう。
○8月21日 12R ヤングジョッキーズTR 門別第2戦 3歳以上C1-2組以下 距離1800ｍ
【注目馬】
レッドラファーガ……今春、川崎から転入。なかなか勝てなかった馬だが、門別5戦目で何とか初勝利を飾っている。前2頭が折り合いをつけ完全に上がりだけの勝負になったが、直線の追い比べで力で捻じ伏せた。切れる脚はなくてもバテない強みで相手なりに走れるタイプ。地元の落合玄太騎手の騎乗予定。
（談話）
相変わらずのズブさですが、前走は鞍上がよく動かしてくれました。昇級でも力は通用するはずですから、ジョッキーがどこまで馬に気持ちを注入できるかですね。
（競馬ブック・松本英博）
