【開催見解】第3回水沢競馬（6/9～6/18　重賞:岩手ダービー･ダイヤモンドカップ、みちのく大賞典）

【開催見解】第3回水沢競馬（6/9～6/18）

　平成30年度の第3回水沢競馬は6月9日から前半3日間、6月16日から後半3日間の計6日間開催される。

　初日（9日）のメインレースは古馬B1クラスによる特別競走『ねむの木賞』ダート1600m。フルゲート＝12頭に対して登録馬は12頭。

　激戦区の特別戦。岩手では3歳重賞の不来方賞以外すべて3着以内のユイノムテキ、岩手10戦７勝のアルアンダルス。地力強化中の4歳馬2騎が主力であることは確かだが、昨Ａ級ランクの格上・ワイルドロジャー、前走で復調気配を見せたサンエイホープ。さらにはこのクラスの安定勢力・シャーク、タイセイオーシャン、デザートナイトと、ここまではマークは欠かせない存在。あとは枠順と展開が鍵になるが、馬券的にも面白い戦いになることは間違いなさそう。

　2日目（10日）のメインレースは3歳馬による重賞競走『第38回岩手ダービー・ダイヤモンドカップ』ダート2000m。フルゲート＝12頭に対して登録馬は13頭。

　全馬初距離。上半期の総決算レースだが、今年の3歳戦線はすでにチャイヤプーンが他馬と勝負付けが済んでいる印象。ただいま4連勝中。1800ｍの前哨戦・やまびこ賞もまったく危なげなく、今回も死角らしい死角は見当たらない。

　焦点は次位争いへ。ナナヒカリはここ2戦チャイヤプーンの連続2着。門別時代に1700～1800mを数多く経験しており、距離延長をもっとも歓迎するのはこの馬。エルノヴィオは一線級と初顔合わせだった前走のやまびこ賞（盛岡ダ1800m）を逃げて3着と健闘。今度は小回りの水沢が舞台だけに、もうひと着順上げる可能性も十分にありそう。

　次群は春の水沢シリーズの準重賞・スプリングカップの1～2着馬・グランフェルメールとムゲンノカノウセイ。ここが兵庫からの移籍初戦となるレップウ、実力牝馬・ピーベリー。このあたりが上位を窺う勢力となりそう。

　後半週の最注目レースは5日目（17日）に行われる、3歳以上オープン馬による岩手競馬伝統の重賞競走『第46回みちのく大賞典』ダート2000m。フルゲート＝12頭に対して登録馬は16頭。

　主役は連覇を狙って復帰してきたエンパイアペガサス。今冬の南関東遠征は報知グランプリカップ10着→金盃4着→卯月杯6着と今ひとつ調子が出なかったが、4月26日のオグリキャップ記念（笠松2500m）はそのうっ憤を晴らすかのように2着馬に2秒8もの大差をつける圧勝劇を演じてきた。前開催の初夏特別（盛岡ダ1800m）を青写真通り快勝。水沢の2000mは過去3戦して地方全国交流のダービーグランプリ2着、昨年のみちのく大賞典1着、暮れのグランプリ・桐花賞1着と得意の舞台。まずは磐石と思える。

　焦点の次位。4歳馬・グランウブロは今春、南関東から移籍後[2][1][1]着。トライアル・あすなろ賞（盛岡ダ1800m）の快勝ぶりを見ると、さすがは3歳時に船橋の重賞・東京湾カップで1番人気に推された素材であったことが窺える。3月の南関東での最終戦の馬体重が508kgで、ここ3走509kg→515kg→526kgと一戦ごとに馬体を増やしており、4歳馬らしい充実期に入ったか？

　このラインに割って入るとすれば2015年のこのレースの覇者である古豪・コミュニティ、復帰2戦目を迎える4歳馬・ブラックロード。紛れは少ない順当戦とみたが･･･。

　なお、この競走の１着馬には7月16日に行われる重賞『マーキュリーカップ(JpnIII)』への優先出走権が与えられる。

　6日目（18日）のメインレースは古馬Ａ級一組による『水無月特別』ダート1600ｍ。フルゲート＝12頭に対して登録馬は19頭。

　出走してくれば有力候補となるチェリーピッカーやヴィグラスムーヴなどが前日のみちのく大賞典とダブル登録ということで、この稿締め切りの段階での予想は難しいが、ここには1頭、大物転入馬が登録してきた。その名はストロングサウザー。中央ダート8勝の7歳馬で、最後の8勝目が2016年に盛岡で行われたマーキュリーカップ(JpnIII)だから、岩手のファンにも馴染みの存在だろう。2016年の佐賀記念(JpnIII)も勝っている重賞2勝馬。まだ老け込む年ではないだけに、前記・エンパイアペガサスの牙城を崩す存在になれるか、注目の移籍初戦となる。

（文：エイカン　内山達明）