【開催見解】第6回水沢競馬（8/17～8/26　重賞：ダイヤモンドカップ、ビューチフルドリーマーカップ）

　2019年度の第６回水沢競馬は８月17日から前半３日間、８月24日から後半３日間の計６日間開催される。

　前半週の最注目レースは２日目（18日）に行われる、３歳馬による重賞競走『第39回ダイヤモンドカップ』ダート1600ｍ。フルゲート＝12頭に対して登録馬は11頭。

　昨年までは「岩手ダービー」の冠が付いた春シーズンの総決算レースだったが、今年から夏のマイル重賞に生まれ変わった。

　主役はパンプキンズ。春シーズンは４月のスプリングカップ（水沢1600ｍ）１着、５月のやまびこ賞（水沢1900ｍ）２着、６月の東北優駿（水沢2000ｍ）１着。ほぼ逃げ一本の戦法でこの世代最強と目されたグレートアラカーを２度降したのだから立派。今回はそのグレートアラカーが船橋へ移籍、さらに牝馬ナンバーワン・エムワンピーコが翌週のビューチフルドーリーマーカップに回ったことで負ける要素はほぼ皆無とも言える。

　相手は５月のやまびこ賞でパンプキンズに次ぐ３着があるリュウノボサノバが有望だが、タイトル戦初登場ながらこのところのレース内容がいいヤマトタケル、エスドリームが不気味な存在。そして前開催の岩手版オークス・ひまわり賞（盛岡ダ2000ｍ）で３着のエバーフレイムは今度は適距離となるだけに、牡馬相手でも期待感十分。

　後半週。５日目（25日）にはこの開催のメインイベント、３歳以上牝馬による地方全国交流競走・重賞『グランダムジャパン2019古馬シーズン第７戦・第45回ビューチフルドリーマーカップ』が行われる。ダート1900ｍ。フルゲート＝12頭に対して登録馬は14頭。

　このところ８年連続して遠征馬が優勝。そのうち７回優勝と圧倒している道営勢が今年は不在となったが、そのかわりといっては何だが、７月18日のノースクイーンカップ（門別1800ｍ）に遠征して重賞２勝目をマークしてきた大井のクレイジーアクセルが不動の本命となりそうだ。昨年５月に牡馬相手の東京湾カップで重賞初制覇。その後は中央馬相手の関東オークス(Jpn2)３着。あのチャイヤプーンが勝った戸塚記念も３着。ロジータ記念が２着と、交流競走で軒並み上位争いを演じてきた。年が明けて、１月のＴＣＫ女王盃(Jpn3)でも５着と古馬でも通用することを示している実力牝馬。ほぼ逃げ一本の戦法だが、長距離には十分な実績があり、何よりデビューからずっと南関東の一線級で戦ってきた馬だけに、今回はこの馬にとって与しやすい相手といっても差し支えないだろう。

　次位筆頭は同じく南関東のアッキー。中央ダート３勝から昨年暮れに川崎に転じ、２月のエンプレス杯(Jpn2)で５着と掲示板を確保すると、４月の卯月オープン（川崎2100ｍ）、５月の武蔵国オープン（浦和2000ｍ）、７月の文月オープン（川崎2000ｍ）と長距離のオープン特別を３戦連続して３着と、距離に自信のタイプであることを示してきた。こちらも機動力があるタイプなので小回り水沢には十分に対応できそうだ。

　距離に自信ということなら兵庫のエイシンミノアカも同様。中央時の３勝目を昨年９月、盛岡の1000万下交流・けやき賞（ダ1800ｍ）でマークし、直後に兵庫へ移籍。３月の六甲盃（園田2400ｍ）で３着に踏ん張っている。その後は佐賀ヴィーナスカップ４着、兵庫サマークイーン賞３着と、グランダムシリーズに積極参戦。突き抜けられないながらも、威力ある差し脚で着実に上位に食い込んでいる。

　以上３頭が主力級だが、今年の楽しみは３歳の素質馬２頭がエントリーしていること。

　大井のグレースレジーナはデビュー６戦目の東京プリンセス賞（大井1800ｍ）で４着と健闘すると、５月には３歳牝馬の交流戦・のじぎく賞（園田1700ｍ）に遠征。２着と惜敗したが、３分３厘で先頭に立つ積極的な競馬で、最後に伏兵に足元をすくわれたもの。勝ちに等しい内容だった。母・ライトレジーナは2009年の東京プリンセス賞５着馬。その母・ラフィーネベルは1995年のビューチフルドリーマーカップ５着馬。力のある牝馬を生み出す女系血脈のようだ。

　そして地元のエムワンピーコ。昨年のデビューからここまで10戦８勝、２着１回、３着１回。前走の岩手版オークス・ひまわり賞（盛岡ダ2000ｍ）を９馬身差で圧勝。６月の東北優駿（水沢2000ｍ）では牡馬相手に３着。牡馬を含めた岩手のこの世代ナンバー３という好素材。交流競走は今回初めてで、古馬との手合わせも初めて。まったくの未知数となるが、実績ある人気どころに風穴を開けるとすればこの馬ではないだろうか？

（文：エイカン　内山達明）