【開催見解】第7回盛岡競馬(9/14~23 重賞:ジュニアグランプリ、不来方賞、岩手県知事杯OROカップ)
2019年度の第7回盛岡競馬は9月14日から前半3日間、9月21日から後半3日間の計6日間開催される。
初日(14日)のメインレースは1999年を最後に休止していた3歳馬による準重賞競走『第5回はまぎく賞』芝1700m。フルゲート=12頭に対して登録馬は12頭。
今シーズンの盛岡芝の3歳タイトル戦は5月12日のはまなす賞(1600m)→5月26日のサファイア賞(2400m)→7月7日の地方全国交流・オパールカップ(1700m)とマツリダレーベンが完全制覇してきた。今回は初めてマツリダレーベン不在のメンバー構成。となると、前記3競走を[2][3][2]着とまとめているサンエイフラワーの出番となるが、7月22日の指定交流・エメラルド賞(芝1700m)では6着と敗戦。ここが移籍初戦となる中央未勝利組が大挙5頭もエントリーしており、非常に難しい戦いとなりそうだ。
その中央からの移籍組5頭はほぼ芝専門の戦歴で、うち4頭に2着があるという、1勝馬級のレベル。ナンヨーミカヅキ、マイディアライフ、ワイルドオーキッド、サンルイス、フィーユブランシェ。この中から何が抜け出してくるのか。本当に甲乙つけがたい。
2日目(15日)のメインレースは2歳馬による地方全国交流重賞『第21回ジュニアグランプリ』芝1600m。フルゲート=14頭に対して登録馬は13頭。
かつてはネイティヴハートやプレイアンドリアルが勝つなど、中央のクラシックにも影響を与えてきた盛岡芝の名物レース。昨年の勝ち馬は今年道営3冠を達成したリンゾウチャネルだ。
道営5頭、船橋1頭の遠征勢で芝経験があるのは2頭。フジノロケットは8月10日のコスモス賞(札幌1800m)7着。ダリルは9月1日のすずらん賞(札幌芝1200m)7着。ともに水準以上にまとめており、まずはこの2頭が計算できる存在となるが、芝未経験組でもデビューから[1][3][3]着のビービーアルバ、[1][6][9][3]着のリュウノロジャー、さらにはレベルの高い南関東で[2][2][2][1][2][3][2]着のポピュラーソングも侮れない存在。
地元勢はトライアル・若鮎賞(盛岡芝1600m)を制したシーサンプーターが大将格。勝ち時計は平凡だったが、活躍するのはもっと遅い時期と思われていた馬。長い距離への対応力で早くも頭角を現してきた。
他にも伏兵馬多数。リュウノロビンは3頭立てだったが、新馬戦をはるか後方から豪快な追い込み勝ち。新馬[2]着→未勝利[4]着→ひまわり賞[4]着と小倉芝1200mで活躍してきた九州産馬・アーモンドカラーも移籍初戦から気になる素材。また芝未経験組でも、道営からの移籍初戦でいきなりビギナーズカップを制したコパノキャリー、新馬戦を好時計で快勝したアメリカ産馬・ユイガドクソンも注目の存在。
なお、この競走はJRA「朝日杯フューチュリティステークス」ブロック代表馬選定競走となっており、優勝馬は東北ブロック代表馬として「京王杯2歳ステークス(G2)」「デイリー杯2歳ステークス(G2)」いずれかのレースへ駒を進めることができる。
3日目(16日)のメインレースは3歳馬による重賞競走『第51回不来方(こずかた)賞』ダート2000m。フルゲート=12頭に対して登録馬は10頭。
この世代の実力馬・グレートアラカーが間に合わなかったのは残念だが、次開催に控えるダービーグランプリを目指して、昨年岩手に在籍した2頭がここから復帰する。
ヤマショウブラックは昨年、道営代表馬として知床賞(盛岡ダ1400m)を制し、そのまま岩手に移籍。12月の寒菊賞(水沢1600m)も豪快な追い込みで2着に食い込んでいる。冬場に大井へ移籍し、3月のクラシックトライアルで2着に食い込むと、羽田盃5着→東京ダービー10着→黒潮盃7着と存在感を示してきた。6月にすでに大井のB2を勝っているし、2000mの距離も臨むところ。
ニューホープは昨年、道営から岩手に転じて若駒賞(盛岡ダ1600m)とJRA認定競走(水沢1600m)を制覇。その後、笠松に転じて新緑賞2着、さらに金沢に転じて北日本新聞杯2着、石川ダービー3着、そして前走の岐阜金賞制覇と活躍してきた。牡馬にしては線が細い馬だが、鋭い差し脚が武器。スタートさえ決まればこちらも勝ち負け十分。
迎え撃つ生え抜き馬はパンプキンズ。今季は5戦して東北優駿とスプリングカップ、そして前走のダイヤモンドカップを制覇。逃げ一本の戦法でグレートアラカーを2度破ったのは見事というほかない。このレースの施行時期が早まったことで古馬との対戦がないが、今回のメンバーで2000mが舞台ならこの馬のマイペース先行になる可能性が高い。
大勢はほぼ三つ巴だが、風穴を開けるとすればホワイトストーム。中央未勝利から転じて今回が移籍初戦となるが、中央時はダートの1800~2100mと長い距離にターゲットを絞って8戦オールひと桁着順という成績。スタミナ勝負の流れになれば台頭してきそうだ。
なお、この競走の1~3着馬には10月6日に行われる重賞『ダービーグランプリ』への優先出走権が与えられる。
後半週。5日目(22日)のメインレースは3歳以上オープン馬による地方全国交流重賞『第21回岩手県知事杯OROカップ』芝1700m。フルゲート=14頭に対して登録馬は18頭。
遠征馬は選定馬6頭に補欠馬4頭。これに地元馬8頭が加わって激戦ムードだが、参考になるのは7頭が出走している7月28日に行われたやはり地方全国交流のせきれい賞(盛岡芝2400m)。この中から2400m→1700mの距離短縮がプラスに作用しそうなのは1着のダイワリベラルと5着のサレンティーナ。そして11着ながら前走の青藍賞(盛岡ダ1600m)で3着に食い込んだレプランシュ。2着のサラトガスピリット(道営)、3着のワールドレーヴ(大井)にはマイナス感。
せきれい賞出走馬以外では盛岡芝6戦5勝のコスモリョウゲツ。昨年はハッピーグリンの2着だったサンエイゴールド。遠征馬では中央芝実績高いタイセイプライド(道営)、ヒシコスマー(川崎)も侮れない存在。
なお、この競走はJRA「マイルチャンピオンシップ」ブロック代表馬選定競走となっており、優勝馬は東北ブロック代表馬として「富士ステークス(G3)」「スワンステークス(G2)」いずれかのレースへ駒を進めることができる。
(文:エイカン 内山達明)