【開催見解】第8回盛岡競馬(9/28~10/7 重賞:ダービーグランプリ)
2019年度の第8回盛岡競馬は9月28日から前半3日間、10月5日から後半3日間の計6日間開催される。
初日(28日)のメインレースは古馬B2クラスによる特別競走『もみじ賞』芝1000m。フルゲート=12頭に対して登録馬は14頭。
まずは移籍初戦でいきなり準重賞・はまぎく賞(芝1700m)を制した3歳馬・フィーユブランシェ。スローに持ち込んでの逃げ切りだったが、中央時代の主戦場は芝の1200mだった馬。今回の方が条件は合うはずだ。
ハガキノハナは前開催のトライアル(芝1000m)を制して、これで盛岡の芝1000m戦は[1][2][1]着。ダートでも徹底して短距離を使われてきており、こちらも有力候補。
ウィズデライトは前哨戦では前記・ハガキノハナの3着と敗れたが、8月にはこの距離を2戦してともに58秒台で圧勝しており、スタートが決まればこの馬があっさりの可能性も十分ある。
伏兵はここが中央からの移籍初戦となるチルノ、マノラム、マジェスティ。盛岡芝は2戦目となるナンヨーミカヅキ、ワイルドオーキッドの変わり身にも注意が必要だ。
2日目(29日)のメインレースは古馬B1クラスによる特別競走『白神(しらかみ)賞』ダート1400m。フルゲート=12頭に対して登録馬は13頭。
唯一の3歳馬・ラブヴィサージュは中央1勝クラスから岩手に転じてマイル戦を2連勝。兄弟に短距離の活躍馬がズラリと並ぶ血筋で、距離短縮は大歓迎。今回のメンバーで勢いという点ではナンバーワン。
4歳馬・メルトポイントは6月に岩手にやってきて7戦4勝。前々走でダート1200mのセプテンバーカップを勝ったと思ったら、前走は芝1000mのFM岩手杯にチャレンジして、直線素晴らしい差し脚を発揮して特別を2連勝。マイル未満なら芝~ダート問わず鋭い決め脚を発揮することを示している。
ポイントプラスはキャリア67戦23勝という10歳馬だが、船橋や盛岡を主戦場に右回りはただの1度も使われていないという個性派。忙しい1400mがどうかという局面だが、南関東時代はオープンのチバテレ盃(船橋1700m)勝ちの実績。実力的に岩手でもA級で走っているべき遥か格上の存在。
以上が主役候補だが、激戦区であることに加えて、微妙な距離。展開次第で伏兵馬の台頭も十分に考えられる一戦。
後半週。5日目(6日)にはこの開催のメインイベント、3歳馬による地方全国交流重賞『第32回ダービーグランプリ』が行われる。ダート2000m。フルゲート=14頭に対して登録馬は14頭。
まずは5頭エントリーの遠征勢から。道営のリンノレジェンドは北斗盃5着→北海優駿2着→王冠賞3着。3冠馬・リンゾウチャネルにはかなわなかったわけだが、8月に黒潮盃(大井1800m)に遠征し、南関東のトップクラス相手に快勝。3番手からあっさり抜け出す横綱相撲だった。それ以来の実戦となる今回は夏を越しての体調面、そして左回りが鍵となるが、左回りに関しては昨年10月の鎌倉記念(川崎1500m)5着で1度経験。先着馬はミューチャリー、リンゾウチャネル、グラビテーション、ヒカリオーソと錚々たる顔ぶれであり、問題はなさそう。万全の状態なら最有力候補に。
兵庫のバンローズキングスは4月の菊水賞6着までは目立たない存在だったが、中央馬相手の5月の兵庫チャンピオンシップ(JpnII)でクリソベリル、ヴァイトブリックに次ぐ3着と大健闘すると、3番人気で臨んだ6月の兵庫ダービーを完勝。一気に兵庫の世代ナンバーワンの座に就いた。7月のMRO金賞(金沢1900m)遠征では22kg減と馬体重を大きく減らして3着と敗れたが、それでも勝ち馬からクビ+アタマ差。前走の園田オータムトロフィー(園田1700m)では28kg増と馬体重を戻しての2着。まずは復調なったとみていいのだろう。
兵庫生え抜きのオオエフォーチュンは菊水賞(園田1700m)は4着、兵庫ダービー(園田1870m)は3着までだったが、1月にゴールドジュニア(笠松1600m)を快勝、前走の秋の鞍(名古屋1800m)がエムエスクイーンの2着の実績。他にも中央の若葉ステークスにも出走と、遠征経験は十分。
同じく兵庫生え抜きのビッグシューターは2歳時に新馬→JRA認定競走をともに楽勝したが、その後休養に入り、戦列復帰したのが6月。よってこの時期の3歳馬ながらキャリアは5戦しかなく、今後の伸びしろが魅力の存在。休み明け3戦目となった前走は岐阜金賞(笠松1900m)に遠征し、金沢のニューホープ(現岩手)と0秒3差の2着と健闘。2歳時に示した素質がダテではないことを証明している。以上、兵庫勢3騎はいずれも左回りの経験なし。ダービーグランプリが水沢から盛岡に移ったことがどう影響するかだ。
金沢のタンクティーエーはデビュー2戦目、中山ダート1800mの未勝利戦を勝ち上がっている中央出身馬。6月に金沢に転じるとここまで1.1..4.1着。東海近畿交流のMRO金賞は4着までだったが、前記・バンローズキングとは1馬身差、6着のニューホープには先着を果たし、他地区相手でもヒケをとらないことは示している。そして前走のサラブレッド大賞典(金沢2000m)は7馬身差の圧勝。左回りは中央時代に3戦経験。距離=2000mは大歓迎の模様。
地元勢。大将格は前走の不来方(こずかた)賞から岩手に復帰したヤマショウブラック。その不来方賞(盛岡2000m)は真っ中団の5番手をキープしたが、仕掛けられての反応が鈍く、直線を向いても前との差が詰まらない。完全な負けパターンと思われたが、推定4~5馬身の差を残り100mだけで差し切った。ダートの2000mではなかなか見られない強烈な脚だったが、黒潮盃では前記・リンノレジェンドから2秒0差の7着。この差をこれまで2戦2勝の盛岡コースで逆転することができるか? 戴冠には先行勢がそれなりの流れを作ってくれることが条件となりそうだ。
やはり不来方賞から岩手に復帰したニューホープは前記したとおり、ハナ差で重賞3勝目を逃したが、逃げるパンプキンズを掴まえに行き、レースを作ったのはこの馬。早めに先頭に立つ競馬はあまり経験がない馬だけに、最後はソラを使った雰囲気もあり、トライアルとしては合格点の内容。ここにきて課題だった発馬が明らかに良化。以前より前目の位置が取れるようになり、レース内容が非常に安定してきたのも見逃せない。
(文:エイカン 内山達明)