【岩手】重賞 第33回東北優駿 みどころ
2025年6月8日
岩手県競馬組合
日本レーシングサービス JBC協会協賛 第33回 東北優駿(M1) (グレーターロンドン賞) 水沢競馬場/3歳・ダート2000m 6月8日(日)第11競走 18:15発走 |
かつては東北三県(岩手・山形・新潟)交流として三場持ち回りで行われていた東北優駿は2003年盛岡競馬場で行われた第26回をもっていったんその歴史の幕を閉じました。2019年、岩手の3歳三冠路線整備に伴って「岩手ダービー」の位置づけで復活。回数表示もかつての歴史を引き継ぐ第27回から再出発して今年で7年目となります。かつての三県交流時代には県営新潟競馬場で行われる際に『東北ダービー』と呼ばれており、94年にはブラッククロス、97年にはメイセイオペラ、01年にはチュードサンデーが優勝しました。
■ユウユウスプレマン(セン3 盛岡・飯田弘道厩舎) | |
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自身キャリア初勝利の勢いをひっさげて挑んだダイヤモンドカップは7着、次戦であり前走のイーハトーブマイルでは4着。その数字だけをみれば“重賞ではまだ苦戦”と感じるのだが、前々走は遠征勢の間に割って入り、前走は3着争いの中で最後まで食い下がり続けた。そう表現すればこの馬自身の成長を想像できるはずだ。ここまで彼なりの上昇ムード、成長ムード。ダイヤモンドカップには“長めの距離を求めて挑んだ”事を今改めて思い返しておきたい。 |
「レース間隔を開けるとあまり良くないタイプかなと思ってここまでは敢えて詰めたローテーションで来ています。マイルくらいではなかなか良い位置を取れない所があるので距離もいいと思います。楽しみにしていますよ。(飯田弘道調教師)」 | |
■タカラクロロック(牡3 盛岡・永田幸宏厩舎) | |
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「デビューした時からこれくらいの距離のレースを目標にしていました」と永田調教師。そう思って振り返ればデビュー戦の盛岡ダート1000mでは2着とはいえ勝ち馬から2.2秒差、2戦目の盛岡ダート1400mでは3着と着順は下がったが勝ち馬とのタイム差は0.6秒に詰めている。「のんびりしてしまう所があるので1400mくらいより長い距離の方が良い」とも。今季の6戦では着順こそ一進一退だが良化感ははっきり見せていた。激戦をくぐり抜けてくるのは、この馬のようなタイプなのかも。 |
「折り合いの心配は全くない。長めの距離の方が自分の競馬をしやすいタイプでしょうし、少々荒れたペースになっても惑わされることはない馬だと思っています。(永田幸宏調教師)」 | |
■ミヤギヴォイジャー (牡3 水沢・菅原勲厩舎) | |
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直近の重賞2戦では9着・8着。4月のネクストスター北日本でも10着に終わっており、遠征馬を含む戦いが多かった事を考慮しても苦戦の印象が否めない。ただもともと盛岡よりは水沢の方が戦いやすいと思われていた馬だし、近走にしても走り自体は安定・堅実。そして恐らく1400mなどよりはもっと長い距離で良さが出る馬でもあるはずだ。近走の苦戦を経験値として糧にできれば、これまでとは違った走りを見せてくれていい。 |
「近走も状態は悪くないのですが結果に繋がっていない。距離はこれくらいでも戦える馬だと思っていますが、重賞では相手が強いのでは。(菅原勲調教師)」 | |
■サンロックンロール(牡3 水沢・菅原勲厩舎) | |
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佐賀からの転入初戦となった前走はクビ差の勝利だったが、3歳B1級とはいえ重賞級のひとつ下、勢いのある馬たちを相手にきっちり勝ち切ったこと、それも初コース・初左回りで・・・とすればその勝利の価値は着差以上に大きいと言える。昨年6月の門別のデビュー戦は2着で新馬勝ちは逃したが、相手がエイシンハリアー、後に重賞勝ちを果たした馬だった事を思えば2着はむしろこの馬の素質の高さの証明でもあった。ここでどんな走りを見せてくれるか注目。 |
「初めての2000mがどうか?は今回の課題ですが、前走を見る限りここでも良い勝負ができる馬ではないかと感じています。(菅原勲調教師)」 | |
■サウザンドマイル(牡3 盛岡・齋藤雄一厩舎) | |
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2歳時には若鮎賞を制覇、ジュニアグランプリではホッカイドウ勢の間に食い込む3着と健闘しネクストスター盛岡でもポマイカイの2着。2歳最優秀馬のタイトルは獲れなかったがそれに限りなく近い戦いを見せていた馬だ・・・という事はその戦績が示している。今年5月の復帰戦は4着、3着からは7馬身離れた結果ではあったが、7ヶ月ぶりの実戦をこれだけの結果でまとめ、なおかつ無事に走り終えたことはポジティヴに評価できる。この馬の2025シーズンはまだ始まったばかり。一歩一歩前進を。 |
「前走は休み明けにしては良い状態で挑めたと思うのですが、今回はまだ良化途上と感じるのが正直な所。水沢もまだ一度だけですしね。一戦叩いた上積みに期待。(齋藤雄一調教師)」 | |
■フタイテンホイール(牝3 盛岡・齋藤雄一厩舎) | |
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デビューから徐々に勝ち馬とのタイム差を詰め、ついにポマイカイをも破った2歳時。それに比べると岩手での3歳戦はタイム 差が拡がる方向にあって、そこに今季のこの馬の苦戦具合が現れているのだろう。ただ、ダートよりは芝のイメージが強いこの馬にしてみれば思いのほかタフな馬場が続くここ最近の馬場傾向が味方してくれていないのも確か。最近の着順の数字がこの馬の実力だと判断してしまうのはまだ避けたい。苦しい戦いが続くが、この経験が活きる日がきっとくるはず。 |
「なかなか調子の変動がない馬で、この春の状態も決して悪くないと感じます。ただ距離はこの馬には長いかも。レースは鞍上に思い通りに乗ってもらうつもり。(齋藤雄一調教師)」 | |
■リケアカプチーノ(牡3 水沢・菅原勲厩舎) | |
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ダイヤモンドカップでは岩手勢最先着の2着。初物尽くしだったうえに勝負所ではポケットのような所で思うように動けなかったものの、この馬の武器と言える瞬発力はしっかり発揮した点は高く評価していいものだ。これまで敗れたパターンは、前走もそうだったが先行馬が強力でいわゆる“前が止まらない”状況になった時。その点今回は良馬場想定、前残りを懸念するほどの先行馬も不在だ。鞍上にも名手を配してタイトルを掴み取る。 |
「前走はこの馬の力を見せてくれた。距離が伸びる点は問題ないですし、どちらかといえば軽い馬場よりはそうでない馬場の方が良いのでは。今の水沢の方が戦いやすいのではと思います。(菅原勲調教師)」 | |
■ラヴェイ(牡3 盛岡・小西重征厩舎) | |
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ダイヤモンドカップでは無念の11着敗退を喫した。ネクストスター北日本では7着とはいえ地元馬最先着で意地を見せていただけにこの苦戦の要因がどこにあったのか?は注意しておきたいところ。それが「距離」だったなら今回もまた・・・という事になるかもしれないが、「展開」あるいは「馬場」であればここで走りが、結果が変わってくる可能性がある。もちろん地元馬同士の戦いになるのも変化の要因のひとつ。前走とは違う走りを期待したい。 |
「前走後も順調に来ていて状態は悪くない。この馬には水沢の方が合うと思いますが、今回の課題は距離。皆同じ条件ではあるが2000mをどう乗りこなすか。(小西重征調教師)」 | |
■ブリスタイム(牡3 水沢・伊藤和忍厩舎) | |
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デビューは2歳5月の門別。スピード性能の高さに期待されたが門別では未勝利に終わる。その快速が花開いたのは笠松移籍後で、3連勝で重賞・ネクストスター笠松を制覇。5番人気での勝利とはいえ後の重賞上位クラスの馬たちを寄せ付けない逃げ切り勝ちは見事だった。その後は一転、苦戦のトンネルに入ってしまっているが、前走にしても序盤は後続を寄せ付けない逃げを見せておりスピード自体に陰りは無いはず。2000mはベストの舞台ではないかもしれないが、きっかけを掴みたいところ。 |
「気性的に難しい所があるのが課題。距離も少し長そうにも感じます。自分の競馬に徹するだけなので、自分のペースを作って逃げることができれば。(伊藤和忍調教師)」 | |
■ユウユウコラソン(牡3 水沢・佐藤祐司厩舎) | |
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岩手再転入の初戦だったネクストスター北日本では11着に敗れたものの続く3歳A級戦から連勝スタート、前走のイーハトーブマイルでは待望の重賞初制覇を成し遂げた。得意の盛岡で戦えたことが大きな勝因だとしても、勢いのあるライバル達をその都度破ってきた点はいずれも価値ある勝利と判断するべきだ。やはり盛岡がよりベター、水沢は若干の割引で距離も初めて。そこは陣営も認める所だが、今の勢いをフロックと見なすのは避けておくべき。それもまた陣営の言うとおりのはず。 |
「ローテーションは若干詰まっていますが状態に変わりはない。もちろんこのメンバーでこの距離も甘くはないでしょうが、ただ幸運だけでここまで来たとも思えない。今なら水沢でも戦える力を付けていると思っています。(佐藤祐司調教師)」 |
文・写真/横川典視