【開催見解】第9回大井競馬(8/10~15 重賞:黒潮盃)
大井開催は8月10~15日までの6日間開催。
お盆時期とあって水曜~火曜日の変則スケジュール。
前開催に引き続きウマイルスクエアでは「タイフード&かき氷フェス in TCK」で熱気ムンムン。そのほかにも11日(金)には国の重要無形民俗文化財に指定されている「相馬野馬追(そうまのまおい)甲冑競馬」の実演や、13日(日)は場外発売する「ばんえい競馬」のPRイベント「ばんえい十勝 in TCK 2017」が行われて「ばん馬」が大井競馬場にやって来る。
子どもから大人までファミリーで楽しめるイベントが目白押し。
今開催の目玉は11日に行われる真夏の3歳地方交流「第51回黒潮盃」。
他地区から強豪の参戦もあって「南関東vs他地区」。さらに南関東馬にとっては「残念クラシック」とも言えるレースで、春の実績馬と夏の上がり馬がここで激突するという、黒潮盃は一粒で二度美味しいレース。
そのぶん難解といえる重賞だ。
初日のメインは「シンデレラチャレンジII」。
牝馬限定のA2下条件で、7月前半開催から始まった年末の東京シンデレラマイルを目指そうというレースの第2弾。
いずれ牝馬重賞へ臨むオープン候補たちだが、すでに4月のしらさぎ賞でタイトルを手にしているニシノラピードが本命だろう。初めて経験する距離マイルで、2月以来の地元大井戦になるが、うまく折り合って先行できれば対応できるはず。交流重賞への参戦など今季の経験は大きく自己条件なら。
ファイトユアソングは7月の「シンデレラチャレンジI」(1400m)を豪快に差しきって勝利。マイルに延長されるのはむしろ歓迎。
意識的に間隔を取って調整されたターフデザイナーはマイルでも瞬発力発揮。
大井1600mがベスト条件シルキークイーン。
2日目には3歳地方交流「第51回黒潮盃」。
かつてはクラシックの前哨戦だった黒潮盃が、春三冠へとクラシック体系の見直しによって1999年から真夏の3歳戦へと移行。2003年からは東日本交流、2004年には全国地方競馬交流へと拡大した。
今年は他地区からの参戦は名古屋のドリームズライン1頭だけになったが、名古屋で連対パーフェクトを誇る東海ダービー馬。ひとマクリで決めたレースぶりからも大井コース適性十分。
南関東馬にとっては春の実績馬に夏の上がり馬が挑む一戦。移籍してきた2頭が分け合った南関クラシック戦線で第3の男として力を蓄えてきたブラウンレガートの出番到来。展開不問の自在性を武器に生え抜きの意地を見せる。
以下は混戦ムード。道中チグハグになった東京ダービーから巻き返すキャンドルグラス。重目解消クラトリガー。成長に期待したい地力馬カンムル。切れる牝馬シェアハッピー。
3日目「盆踊り賞」はB3二組によるマイル戦。
出走表明していた黒潮盃から自己条件へと切り替えたトルナベントを中心視。道営から移籍して東京ダービートライアルは4着とクラシック戦線には乗りきれなかったが、その後(3)(3)(1)(1)着と力を蓄えてきた3歳馬。前走では初の古馬対戦をあっさりクリアし、Bクラスへと格上げになるが連勝の勢いで。
相手はモンサンデューン。後方から末脚発揮していた以前に比べて好位での競馬をするようになった近走。リフレッシュ放牧後を勝って上積み十分。
ジェロニモはもっか7連対の地力馬だがあと一歩勝ちきれずに2着というレースも多い。前走はスローペースで粘り込んだが格上げされてどこまでやれるか。
4日目のメインは「SPAT4のお得なポイントin大井」。
B1三組、B2二組の1200m戦で、スピード自慢が揃ったが注目は15戦11勝の強者プリサイスキング。3歳時に管骨々折を負って脚元にはボルトが入っているのだが、逃げて良し、差して良しの自在なレースぶりでひとつひとつ階段を昇ってきた。特に暑い時期は強く、目下4連勝中。いずれ重賞戦線を狙ってほしい馬だけにここではまだ落とせない。
相手は復調イノデライト。新馬戦はテンションが上がり除外になったものの、その後3連勝した素質馬。しかし脚部不安で3歳6月からの一年近い長期休養を余儀なくされ、休み明けを3戦使われてようやくリズムを取り戻してきた。
前走の準重賞でアピアの2着ツオイガナ。相手が悪かったというしかないが先手を取れればまた違うはず。気性的なものか惜しいレースはありながら勝機から約二年離れているナイキアフォード。ひと叩きされたロイヤルオブアクア。
5日目は「ギャラクシー賞」がメイン。B3一組の1800m戦。
再び連勝街道を進みそうなファクターを中心視。4連勝後の休養明けでは内枠が仇となって先行争いに巻き込まれて惨敗してしまったが、前走は3番手から直線抜け出す正攻法の競馬で強いレース内容。まだ底を見せていない。
地元川崎開催をスルーして大井1800mへ臨んできたシンゲツ。休み明けの前走でも直線の切れ味冴えたリムショット。暑さと共に調子を上げているデューイハミテージ。
6日目「ミッドサマー賞」はA2、B1一組の1400mが舞台。
混戦ムードが漂うなか、サニーデイズに注目。準重賞シーサイドカップではカラ馬の影響を受けた馬もいた中で先行し3着。中央時代には藤田菜七子騎手がJRA初勝利を飾った馬としても知られている。大井に移籍してから短距離路線で先行力を生かした競馬がつづき、1400mでもうまく取り付いていければ。
距離実績あるブリージーストーム。スピード値高いニチドウリュンヌ。逃げ、差し自在なレースぶりサブノクロヒョウ。直線確実に伸びてくるキタノヘイロー。
競馬ブック 中川明美