【開催見解】第2回盛岡競馬(5/26~6/4 重賞:早池峰スーパースプリント)
2019年度の第2回盛岡競馬は5月26日から前半3日間、6月2日から後半3日間の計6日間開催される。
前半週の最注目レースは初日(26日)に行われる、3歳馬による準重賞競走『第13回サファイア賞』芝2400m。
フルゲート=12頭に対して登録馬は12頭。
日本ダービーと同じ日に同距離で行われる、盛岡競馬場の名物競走となりつつある3歳のタイトル戦。
今年の主役は5月12日に行われた前哨戦・はまなす賞(盛岡芝1600m)を制したマツリダレーベンになりそう。着差はクビ差だったが、スローの道中は好位で折り合い、4コーナーで馬群の外から抜け出す横綱相撲。盛岡の芝は2歳時に地方全国交流のジュニアグランプリで地元勢最先着の2着、道悪のJRA認定競走を競り勝つなど、信頼度は高い。
対抗馬はサンエイフラワー。前哨戦・はまなす賞では4コーナー・6番手から直線で急追。前記した通り、マツリダレーベンにクビ差まで迫った末脚は見事だった。これで盛岡の芝は5戦→1・2・7・2・2着。交流のジュニアグランプリ7着以外はすべて勝ち負けを演じている。こちらは長丁場でいつもの瞬発力を発揮できるかが焦点。
はまなす賞の2~3着の着差は4馬身。巻き返すのは厳しそうに見えるが、今度はまったく異なる距離。キャリア僅か2戦で4着に踏ん張ったトーセントルマリン、強烈な差し脚を秘めるリュウノアイドルなども軽くは扱えない。
別路線組ではデビュー3・2・2・1・1・2着とまだ底を見せていないエスドリーム。初芝となるが、血統的にはOKの背景。昨年はレースに行って幼さをのぞかせたが、今春は精神面で成長を見せており、不安より期待の方が大きい素材。
なお、この競走の1着馬には7月28日に行われる重賞『せきれい賞』への優先出走権が与えられる。
後半週。4日目(2日)のメインレースは3歳以上オープン馬による重賞競走『第4回早池峰(はやちね)スーパースプリント』ダート1000m。フルゲート=12頭に対して登録馬は12頭。
ここへ向けての前哨戦、5月20日に行われたスプリント特別(盛岡ダ1200m)がなかなかの激戦となり、抜けた馬はいない状況。
ツララはその前哨戦で先行争いを演じたメイショウオセアンを3着に沈め、その直後の絶好位にいた1番人気・ミスティカルの追撃も振り切っての勝利。ここがタイトル戦初登場となる5歳牝馬だが、前走内容の比較ではこの馬が一番手の存在。
半馬身届かなかったミスティカルはこれからの4歳牡馬。4コーナーでの手応えは絶好に見えたが、まだ本格的なスプリント戦には慣れていないのかもしれない。長い目で追いかけたい。
前哨戦3着と若馬に屈したメイショウオセアンは昨年のこの競走の2着馬。前走は最内枠がアダとなった可能性もあり、展開次第で巻き返す余地は十分ある。
別路線組。フォルスは昨年そのメイショウオセアンにハナ差で続いた3着馬。前走は水沢850mの電撃戦を押し切り勝ち。健在ぶりをアピールしているが、今回は強力な同型が数多く登録しており、いつも以上にスタートダッシュが鍵になりそう。
ただいま4連勝中のサインズストームは満を持してのタイトル戦初登場。前走は水沢マイルとしては出色の好時計。昨年10月、B1の短距離特設(盛岡ダ1000m)ではレコードで駆けており、時計が速い走路状態をめっぽう得意とするタイプなのかもしれない。トップクラスとは初戦だが、レコードホルダーとして堂々受けて立つ存在とも言える。
以上はすべて先行タイプ。展開面から狙いたいのはここが移籍初戦となるナムラヒューマン、およびサクセスストーリーの差し勢。
なお、この競走の1~2着馬には7月14日に行われる重賞『岩鷲賞』への優先出走権が与えられる。また、この競走は「地方競馬スーパースプリントシリーズ」に組み込まれており、1着馬には7月17日に船橋競馬場で行われるシリーズファイナル・重賞『習志野きらっとスプリント』への優先出走権が与えられる。
5日目(3日)のメインレースは、3歳以上オープン馬による準重賞競走『第22回かきつばた賞』芝2400m。フルゲート=12頭に対して登録馬は9頭。
この競走を2連覇中、芝の長距離には絶対的な自信を持つ王者・サンエイゴールドの登録がなく、さらに5月21日行われる予定だった前哨戦・OROターフ特別(盛岡芝1700m)が当日の豪雨で競走取り止め。力関係がまったく見えていないうえに、長距離適性をも問われるという、今年は非常に難しい一戦となった。
実績上は今春、岩手に移籍してきたグランアルマダが断然。中央では芝の1800~2400mで5勝をマーク。オープンではステイヤーズステークス(中山芝3600m)6着、万葉ステークス(京都芝3000m)5着と、長いところで見せ場を作ってきており、今回はまさにベストの条件。とにかく自身の状態面がすべてとなる。
コスモロングソードは盛岡芝18戦7勝。盛岡コースとしてのキャリア、実績ではこの馬が抜けた存在だが、1000mで2勝、1600mで5勝という内訳だけに、今回は初距離をどうこなすかがポイントに。そして、前記・グランアルマダとともに前哨戦が流れてしまったことがどう影響するか。
リュイールスターは盛岡芝を狙って前開催から始動。超スローペースにはまって、B2クラスの騎手交流戦(盛岡芝1600m)を7着と敗れたが、このひと叩きで変わってくるだろう。昨年のこの競走は5馬身ぶっちぎられたが2着を確保。サンエイゴールド不在ならこの馬の出番との考え方もできる。
さて、グランアルマダのデキ、コスモロングソードの距離対応次第では例年よりレースレベルはかなり下がりそう。ならば今春好調な4歳馬・マイネルスカイ、中央芝2勝馬でここが移籍初戦となるナリタゴールド、初芝ながら岩手8戦6勝のパッショノンといったところにも出番があるかもしれない。
なお、この競走の1~2着馬には7月28日に行われる重賞『せきれい賞』への優先出走権が与えられる。
(文:エイカン 内山達明)