【開催見解】第8回大井競馬 (8/11~16 重賞:黒潮盃)
大井開催は8月11~16日までの6日間開催。
お盆時期とあって日曜~金曜日の変則スケジュール。
前開催に引き続きウマイルスクエアでは「トーキョーカレーダービー in TCK」で熱気ムンムン。「夏のウォーターエリア」にはウォータースライダーも登場して、子どもから大人までファミリーで夏を満喫できるイベントが目白押し。
今開催の目玉は14日に行われる真夏の3歳地方交流「第53回黒潮盃」。
他地区から強豪の参戦もあって「南関東vs他地区」。さらに南関東馬にとっては「残念クラシック」とも言えるレースで、春の実績馬と夏の上がり馬がここで激突するという、黒潮盃は一粒で二度美味しいレース。
そのぶん難解といえる重賞だ。
初日のメインはB3四組の「サードニックス賞」。
得意の1200m戦に戻ったジュールドミュゲの巻き返しに期待する。スピードを生かした先行策から、近2走では抑える競馬をして連続4着。逃げなくても崩れのない走りができたことは収穫と言える。
ベッピンムーンは格上げ戦になるが、この暑さの中ゆったりしたローテーションで使われてきたのは消耗が少なく好感。ここもうまく先行できれば。
ブレーヴブラッドは休み明けを二戦叩いたところだが、緒戦はタイムの速さだけでなく早め先頭に抜け出して押し切る競馬で勝利。馬なりに抑えた調整で臨む。
放牧明けでも地力上位キングディグニティ。
叩きながら調子を上げているキングシーバード。
2日目は「オフト汐留賞」。
B1二組・B2二組のマイル戦には好調馬が揃ったが、注目はスターズテソーロ。今回は昇級戦で相手はいきなり格上の混合レース。中央から転入後は5連勝して前走で2着と連勝はストップしてしまったが、スピード値や持ちタイムからもヒケは取らないものがある。
相手は移籍後2連勝しているトーセンゼロス。
前走のトワイライトCでは逃げて後続を寄せつけない走りで、最後は余力十分に6馬身差の圧勝。スタートに課題は残るが、五分に出たら怖い。
トーセンエターナルは前走のマイル戦の差し脚はタイムも大幅に詰めてお見事。強敵相手にどこまで迫れるか。
ケンコンイッテキの転入戦は秋以来の実戦で、ひと叩きされた上積みは十分見込める。大型馬で内回りコースを捌ければ。
3日目は「東京記念トライアル」がメイン。
本番と同条件の2400mの長丁場で、1,2着馬には東京記念への優先出走権が与えられる。昨年はトライアルでは伏兵的存在だったシュテルングランツが勝利し東京記念でも優勝している。
距離2100mのダービーグランプリを勝っているように長距離適性十分なチャイヤプーン。南関東移籍以来、歯がゆいレースが続いているが馬体は大きく成長しパンプアップ。2度目の大井コースで瞬発力勝負。
前走は盛岡の芝2400mのせきれい賞に遠征し3着に健闘したワールドレーヴ。中央時以来の芝に加えて、得意の長丁場で覚醒した印象。長距離は希有とあって南関東ではまだ未勝利だが、ステップアップのチャンスに。
サブノクロヒョウは2017年の東京記念勝ちと実績は申し分ないが逃げ、差し自在に立ち回ってきた以前とは違って近走は後手に回ることが多い。オープン特別で思い切った騎乗を見てみたい。
力量的な差はないスギノグローアップは流れひとつ。
ひと息入ったディアドムス。
4日目のメインは3歳馬の地方交流レース「第53回黒潮盃」。
かつてはクラシックの前哨戦だった黒潮盃が、春三冠へとクラシック体系の見直しによって1999年から真夏の3歳戦へと移行。2003年からは東日本交流、2004年には全国地方競馬交流へと拡大した。ダービーグランプリを頂点とする地方競馬「3歳秋のチャンピオンシップ」ではカテゴリーAにランクされている。
南関東馬にとっては春の実績馬に夏の上がり馬が挑む一戦。
生え抜き二頭が戴冠したクラシックで上位入線した馬の出走はないが、春の実績馬としては東京ダービーでは5着に追い込んだアエノエンペラー。ダービー以来の実戦になるが終いは確実に伸びてくる。キャリアもまだ浅いぶん伸びしろも十分。
京浜盃では後方一気にすっ飛んできたホワイトヘッド。東京ダービー出走は叶わなかったが、残念ダービーと言われる若竹賞でも切れ脚を炸裂。末脚を生かせる展開になれば嵌まる可能性も十分ある。
シビックヴァーゴは羽田盃で道中気難しい面を出し、東京ダービーでは後手を踏んで不完全燃焼なクラシックとなったが素質は光るものがあり成長力を期待。
元々クラシック候補とされながら鼻出血等で頓挫したトーセンボルガが暑さと共に復調ムード。ジョリスヴェニールはデビューから2連勝して大物の片鱗を見せた素質馬だけにひと夏の成長が楽しみだ。
他地区からは、道営より北海優駿2着、王冠賞3着のリンノレジェンドと、石川ダービー3着のニューホープが参戦する。
5日目のメインは「ペリドット賞」で、B2四組による1800m戦。
キングオブアームズを中心視。中央では芝の中距離を使われてきたが、緒戦から勝ちきったレースぶりからもダートはスムーズ。前走はマイルで3着だったが今回は1800mに延長されるのはプラス材料だろう。
ミスターオーネットは休み明けになるが乗り込み量は十分。中央から移籍すると6勝して駆け上がってきた瞬発力勝負でまだ上を目指せそう。
また第4Rには「シンデレラチャレンジI」。
牝馬限定のA2下条件で、年末の東京シンデレラマイルを目指して力を蓄えようというシリーズの第1弾。
マルカンセンサーはクラスこそまだA2下だが、今年のTCK女王盃2着で大穴をあけ、その後もスパーキングレディーC5着と牝馬ダートグレードで好戦。前走の自己条件でも鮮やかな差し切り勝ちで南関東の牝馬戦線でも台風の目になっていきそうな存在だ。
オルキスリアンもまた前走の兵庫サマークイーン賞遠征で2着し、クイーン賞3着と実績はヒケを取らず自己条件なら好走必至。
休み明けの川崎戦は3着だったファーストスキップも一度も掲示板を外したことのない地力馬で今後の活躍が楽しみな一頭。
6日目は浦和競馬とのダブル開催。昼の浦和から夜の大井へとリレーする。
大井のメインは1000mの「流星賞」。
数少ないA2以下での電撃戦とあって、ここを狙った韋駄天揃い。
900mの川崎スーパースプリントでも善戦したエッシャー。スタートダッシュの速さで前走の1400m戦も逃げ切ったが、何が何でもとハナにこだわるわけではない対応力も強味。
前走は盛岡のハヤテスプリントに挑んだカンゲキ。1番人気に推され4着だったが長距離輸送でもそう馬体が減らず、意外とタフな面を見せた。地元に戻って本領発揮。
テンの速さではパルドン。ハナを取れれば我慢の利くタイプで枠順が鍵になりそうだ。
ひと叩きしたブリージーストーム。復調気配イノデライト。
(ケイバブック・中川明美)