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【開催見解】水沢競馬(2021/12/26~2022/1/3)

盛岡・水沢

2021年12月25日競馬情報

 令和3年度の第9回水沢競馬は12月26日から2日間、12月30日から2日間、そして年が明けて1月2日から2日間の計6日間開催される。

 この開催の最注目レースはなんといっても4日目(31日)に行われる岩手版・有馬記念、3歳以上オープン馬による重賞競走『第46回桐花(とうか)賞(M1)』ダート2000m。フルゲート=12頭に対して登録馬は17頭。今年は1着賞金が1000万円に倍増。2002年以来、実に18年ぶりの大台復帰となる。また、当日のレース終了後、16時40分頃からエンパイアペガサスの引退式が予定されている。
 そのエンパイアペガサスはファン投票第1位。今シーズンは上半期がシアンモア記念(水沢1600m)2着→みちのく大賞典(水沢2000m)1着→Jpn3のマーキュリーカップ(盛岡ダ2000m)7着。下半期の金華特別(盛岡ダ1800m)を叩かれての前走・北上川大賞典(盛岡ダ2500m)1着→そして今回、は昨年とまったく同じローテーションとなる。この桐花賞は2017年に当時3歳のベンテンコゾウの挑戦を退けて快勝。2019年は逆に3歳馬・ヤマショウブラックの末脚に屈しての2着。そして昨年は1番人気のヒガシウィルウィン、2番人気のフレッチャビアンカを降して2度目の制覇を達成。今年も勝つようだと、グレートホープ(1989年、1992年※1991年度、1992年)、トウケイニセイ(1993年、1994年、1995年)、トニージェント(2002年、2003年、2005年※2004年度)に並ぶ、史上最多タイとなる4頭目の桐花賞3勝馬となる。また、今回は他にも数々の記録がかかる。優勝すると生涯獲得賞金は1億円超え、重賞勝利数は20の大台に到達。生涯成績は51戦26勝となり、勝率は5割を超えることになる。前走の北上川大賞典が大差勝ちの強さで、水沢2000mは9戦して5勝、2着2回、3着2回と崩れなし。有終の美を飾る可能性は十分。
 ヒガシウィルウィンはファン投票第2位。2017年にジャパンダートダービー(Jpn1)を勝って、その年のNARグランプリ年度代表馬に輝いた実力馬。岩手2シーズン目となった今季は春が赤松杯(水沢1600m)5着→シアンモア記念1着→みちのく大賞典2着。秋は青藍賞(盛岡ダ1600m)、トウケイニセイ記念(水沢1600m)ともに1着。出走数は少ないものの貫録を誇示している。対エンパイアペガサスだと、昨年の桐花賞は完敗だったが、マイルのシアンモア記念ではクビ差競り勝ち、今回と同条件のみちのく大賞典でもハナ差の2着。やはり逆転の一番手はこの馬。
 マツリダスティールはファン投票第3位。夏までは芝路線を歩んでいたが、9月の不来方(こずかた)賞(盛岡ダ2000m)を2着馬に2秒6差という歴史的大差で圧勝している今年の3歳ナンバーワン。その後はダービーグランプリ(盛岡ダ2000m)が4番人気で13着、前走の北上川大賞典は1番人気で6着と大敗しているが、前者は先行馬総崩れの展開、後者はエンパイアペガサスにぎっちりマークされて潰されたもの。敗因ははっきりしており、前々走のA級一組(盛岡ダ1800m)を7馬身差勝ちと古馬オープン通用は証明済み。すんなり逃がしてもらえれば単の可能性を秘める。
 ゴールデンヒーラーはファン投票第4位。4月のあやめ賞(水沢1400m)、8月のひまわり賞(盛岡ダ1800m)を楽勝している今年の3歳牝馬ナンバーワンだが、この他にもダイヤモンドカップ(水沢1600m)2着、東北優駿(水沢2000m)4着、やまびこ賞(盛岡ダ1800m)1着、不来方賞2着と、牡馬と互角に渡り合ってきた世代屈指の実力馬でもある。古馬初戦となった前走はJpn3のクイーン賞(船橋1800m)。さすがに相手が強く、見せ場もなく7着と敗れたが、この経験が糧になればの態勢。今回は古馬牡馬と4㌔差の53㌔で走れるだけに、高速馬場になるようなら軽くは扱えない。
 ヤマショウブラックはファン投票第6位。今季は12戦して4月のA級一組(水沢1800m)の1勝のみ。重賞では5月のあすなろ賞(水沢1900m)3着が最高着順。この馬の実力を考えるとかなり消化不良のシーズンだが、この桐花賞は3歳時にエンパイアペガサスを差し切って優勝したゲンのいいレース。穴党はその再現に期待する手も。
 レールガンはファン投票第7位。浦和から復帰した今シーズン、A級で2勝マークと伸び盛りの4歳馬。8月の準重賞・すずらん賞(盛岡ダ1600m)でハナ差惜敗。前走の北上川大賞典では後方待機から追い上げてエンパイアペガサスの2着を確保。かなり力をつけており、長い距離も歓迎のタイプ。人気馬の後ろの位置から一撃を狙う。
 シゲノブはファン投票第9位。今春、名古屋から転じてここまで13戦1勝だが、11月にはJpn1のJBCクラシック(金沢2100m)にも遠征してきた。前走のA級一組(水沢1600m)でも2着と好調のようだが、この稿締め切りの段階で12月29日のG1東京大賞典(大井2000m)にも選定されており、どちらを選択するかが注目される。
 アーバンキッドはファン投票第10位。もともとは毎日杯(G3)2着の元中央オープン馬だが、ここ2年は障害キャリアということで半信半疑の移籍だったが、初戦のOROカップ(盛岡芝1700m)でロードクエストとクビ差の2着と大健闘。その後も芝で②①着と、現在芝のナンバーワンはこの馬。芝シーズンが終了してどうかと思われたが、11月23日のA級一組(盛岡ダ1600m)3着、前走のトウケイニセイ記念4着と、ダートでも見せ場を作っており、基礎能力の高さを示している。障害を勝ち上がっているくらいだから距離延長は問題なく、脚抜きのいい馬場状態になるようなら伏兵に成り得る。
 ジェイケイブラックはファン投票第12位。今季はここまで10戦1勝。ブレイクした昨年のようにはいかなかったが、昨年殿り負けだった前走の北上川大賞典が今年は3着なのだから、オープン馬としてパワーアップしているとの見解もできる。ゆったり流れる中距離向きのタイプだけに、すんなり流れに乗れるようなら上位を窺う存在。
 アドマイヤメテオはファン投票第14位。今季は8戦0勝だが、休み明けの前走・A級一組(水沢1600m)で2着と奮闘しているように、10歳馬ながらまだまだ元気。桐花賞は昨年6着。今年もそれぐらいはやれていい。
 ツクバクロオーは競馬専門紙記者推薦。高知からの移籍初戦となった前走・トウケイニセイ記念は勝負どころで遅れをとったが、直線よく詰めて3着。地力の片鱗を見せている。高知での獲得タイトルは昨年の福永洋一記念(1600m)だが、高知の大晦日の名物競走・高知県知事賞(2400m)に2年連続出走し、最強馬スペルマロンの③②着。マイルよりは2000mの方が合っていると思われ、今度は休み明けを叩かれての2戦目、そしてコース2度目とプラス材料しかない。最大の惑星馬はこの馬になりそうだ。
 リリーモントルーも競馬専門紙記者推薦。今春、中央の2勝クラスから転じて8戦4勝。芝のOROカップやJpn1の南部杯を除くと①①①③③①着と崩れを見せていない。春の水沢シリーズ2戦は完勝だったし、重賞のここでも不気味な存在。
 また、この他に補欠馬として、ファン投票17位のエムワンピーコ(牝5歳)、同18位のアドマイヤコメット(牝5歳)、同20位のエムワンハルコ(牝3歳)、同21位のナイトメア(牡6歳)、同22位のユノートルベル(牝5歳)の登録がある。


(文:エイカン 内山達明)

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