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【門別】競馬専門紙記者の重賞予想(10/31 北海道2歳優駿 [JpnIII])

門別 重賞

2019年10月30日レース予想

第46回北海道2歳優駿

 

強力布陣の道営勢、波乱の目は逃げるキメラヴェリテ

 

先のエーデルワイス賞同様、JRA勢と地方勢の優劣が拮抗しているレースであり、実際、ダートグレード競走として指定された以後、過去22回の対戦成績は、JRA11勝、地方11勝とまったく互角。JRA勢としては3年前の覇者であるエピカリスのような超大物が参戦してこない限り、この傾向は続くとみて間違いないだろう。

 

○アジュバント
 デビュー戦は好仕上がりを見せていたビービーガニアンに完敗の2着だったが、距離を1700mに延ばした2戦目のアタックチャレンジ競走、3戦目のターフチャレンジⅠ競走を快勝。距離を延ばすことによって確実に力を発揮できることを実証している。ターフチャレンジ競走の2着スティールペガサス、3着ティーズダンク、4着シルバーサークルは、それらがこのレースに歩を進めてきたのも、そのレースのレベルの高さを物語っている。前走のサンライズカップこそティーズダンクの決め脚に屈したが、札幌への遠征(コスモス賞5着)帰りでプラス体重だったのも微妙に影響したかもしれない。勿論、今回は万全の態勢。最高の仕上がり状態で挑む構え。


○タイセイサクセサー
 田中淳厩舎が第40回の覇者ハッピースプリント以来の冠を狙ってきた。6月のデビュー以来、心身の成長を促す意味でゆったりとしたローテーションを取られているが、それに呼応するかのように一戦毎に上昇。一気に距離が延びた前走のウィナーズチャレンジ競走では、最後方追走から、3角過ぎには鞍上のゴーサインに鋭く反応して直線1ハロンで一気に先頭、ゴール前では抑える余裕を見せる圧勝ぶり。距離が延びるこのレースへ向けて、文句なしのパフォーマンスだったと言えるだろう。中1週の競馬になるが、前走同様、坂路では36秒4の時計をマーク。体調面に一切の不満はない。末脚の確実性から、1800mに延びるのも心強い材料。


○キメラヴェリテ
 JRA4頭の中で勝つチャンスがあるという意味では、この馬が筆頭候補。デビュー戦は下がってきた馬の影響を受けて、まったく力を出し切れずに終わったが、立て直されて再出発を期した小倉の未勝利戦では、好スタートから一気の逃げ切りを演じている。前走の1400mは積極的なレースがハイペースを呼んでしまい、後続馬の好餌になってしまったが、改めて一級品のスピードを持っていることを証明している。直線の長い大回りの門別のコースをどう攻略するかが焦点になりそうだが、競ってくる馬が見当たらない組み合わせ。台風の目はこれ。


○ヨハネスボーイ
 7月のブリーダーズゴールドジュニアカップ(H1)では、アジュバントよりも先に動いて後続の追撃を抑えて快勝。中央札幌に遠征して、クローバー賞2着、札幌2歳S5着の戦績から判断すれば、芝の方が良さそうなイメージを受けるが、少しでも脚抜きのいい軽い馬場になれば、より真価を見せる可能性は十分にあるだろう。前哨戦のサンライズカップは札幌への遠征が続いたために、馬体に余裕が見られていた分、追い比べで後れを取ったが、今回は中間に本馬場で長目から併走追い切りを消化しており、臨戦態勢としては明らかに前走以上だから、ブリーダーズGJCを再現シーンを一考。


○ピオノノ
 デビュー戦前の追い切りの感触は申し分なかったが、気性面の若さが災いしてスタート後手。道中の行きっぷりも今ひとつだったが、その後、じっくりと立て直されて再出発を期し、叩き2走目となった前走の勝利に結びつけている。長くいい脚を駆使できるだけに、広い門別コースは向いている感じがするし、岩田康騎手が連続して騎乗できる点もプラスアルファになりそう。


○ティーズダンク
 サンライズカップはヨハネスボーイ、アジュバントの外から見事な追い込みを決めた。展開がズバッと嵌まったことは否定できないが、じっくりと脚を温存することで持ち味が生かせることが分かっており、今年、絶好調の宮崎光騎手の手腕が、再び炸裂する可能性がないとは言えない。展開が乱れた際には、要注意の存在か。

◎⑩アジュバント
○⑨タイセイサクセサー
▲⑥キメラヴェリテ
△⑫ヨハネスボーイ
△②ピオノノ
△④ティーズダンク

(各ファクター)
実 績 ⑫④⑩⑨⑥
調 教 ⑫⑩⑥②⑨
距 離 ④⑦⑩⑨⑫
コース ⑩⑨⑫④⑪

 

(厩舎談話)
1.スティールペガサス 短距離向きと思われる血統ですが、このレースを意識して距離を経験させてきました。淀みのない流れになると思いますが、この馬の気性からは好都合です。期待を持って臨みます。


2.ピオノノ レースセンスはいいし、少し幼い面は残るけど、前走の勝ち方から北海道2歳優駿を使ってみたいと思いました。門別に替わるのも大丈夫。環境の変化にも対応できますし、メンバー的にも楽しみですね。


3.ケンジン 上がりがかかる展開に乗じて、前走は頑張ってくれました。緩やかながらも一戦毎に成長は感じられます。この馬のスタミナが生きるようなタフな流れになってくれれば、浮上できるはずですよ。


4.ティーズダンク 前走は馬の成長あっての勝利だと思いますが、鞍上が上手に導いてくれましたし、嵌まったのも事実です。勝負どころでロスなく進出できるかが最大のポイントです。デキに関して不安はありません。


5.フジノロケット 芝の遠征が続きましたが、疲れもなく順調に調整できています。ダートで長い距離を走るのは初めてですが、これくらいの距離が合うと見ていました。実績馬相手にどこまでやれるかですね。


6.キメラヴェリテ 短期放牧を挟みましたが、変わりなくきています。ハナを切れれば渋太いタイプなので、これくらい距離があった方がレースもしやすいと思います。自分のレースに徹したいですね。


7.ラーラクロリ ハナにはこだわらないけど、ゲートが速くて渋太いので、前、前で運びたいね。カイ食いもいいし、輸送も大丈夫だと思うので楽しみにしている。


8.アベニンドリーム 前走は最高に近いレースをしてくれました。今回は中1週で更に濃いメンバーが相手になりますから、前走以上に試金石という感じがします。どこまで頑張ってくれますか。


9.タイセイサクセサー 前走はコーナーを4つ回る競馬への不安を一掃しただけでなく、能力の高さを示す勝ちっぷりでした。中1週のローテーションが少し心配ですが、勝機が十分にあると思っています。


10.アジュバント 前走は勝機があったレースだけに残念な2着でした。ここ目標に入念に調整してきましたが、万全の態勢で臨めるでしょう。JRA勢の力は分かりませんが、勝つ力は備えていると思っています。


11.バックストッパー 前走を負けはしましたが、上位馬との差は決定的なものではないと捉えています。奥手なタイプと見ていましたが、ここにきての良化度が大きいので、逆転に手応えを感じているんです。


12.ヨハネスボーイ 前走はマークされる立場で、少し競馬がやりづらかったですね。それでも力は示してくれましたし、使ったことで確実に状態は上向いていますから、反撃できる要素は十分ありますよ。


13.マイネルアストリア 前走は流れに乗れず、この馬の持ち味を生かすことができなかった。中間、稽古でチークピーシズを着けたが、非常にいい感じ。勝った時のように前で運べれば、もっと走れていいと思う。


14.シルバーサークル 素質はヒケを取らないものを持っているんですが、案外、晩成なのかもしれませんね。体調はすこぶるいいので、現状の力を出し切ってくれればと思います。
(競馬ブック・松本英博)

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