「3歳牝馬クラシック路線へ有力馬始動。桜花賞に向けて見逃せない好カード」
3月20日(祝・木)に行われる第71回桜花賞を見据えた重要な一戦で、当レースの1~3着馬に対して桜花賞の優先出走権が付与される。以前は準重賞として施行されていたが、2009年からS3格付け。2012年の第4回からS2に昇格し、桜花賞へのステップレースとして注目度は高まっている。
レース傾向としては東京2歳優駿牝馬出走組が大きなカギを握る。2020年のレイチェルウーズ、2016年のモダンウーマンなどが東京2歳優駿牝馬と当レースを連勝。ただし、2022年の優勝馬スティールルージュは東京2歳優駿牝馬16着からの巻き返し。2014年ノットオーソリティ、2018年エターナルモールも東京2歳優駿牝馬大敗から巻き返しと好走組は勿論、大敗組でも浦和千四に舞台が替わって変わり身を見せることを念頭に考えたい。
◎ゼロアワー
門別では6戦4勝で、千二~千七の異なる距離で重賞3勝。牝馬のみならず、牡馬と比較しても実績はトップクラス。しかし、その重賞勝ちよりも特筆すべき点は新馬戦。後にJBC2歳優駿を勝ち、全日本2歳優駿3着のソルジャーフィルドを完封しての8馬身差逃げ切り。距離や完成度の違いこそあったにせよ、その力量が窺い知れる説得力のある材料。それらの実績をからも期待された転入緒戦の東京2歳優駿牝馬だったが、結果は惜しくも2着。スタートは躓き気味で直後に進路をカットされて完全にリズムを崩した格好。道中もやや口を割る面を見せていたが、内の好位をガッチリ確保。そして4コーナーから先頭に並びかけて突き抜けるかに見えたが、直線では外にヨレ気味で大きなロス。それでも矢野騎手が立て直して追ったが、最後は内から掬われてしまっての惜敗。ただ、コース取りひとつで結果は変わっていた可能性もあり、この一戦だけで勝負付けアリと判断するのは早計。今回も初コースという点に不安は残すが、その点さえクリアなら首位争い必至。
○プラウドフレール
前述のゼロアワーを東京2歳優駿牝馬で破ったのがこの馬。新馬から連勝を飾ったが、休み明けの川崎戦での大敗の印象が尾を引いたのか、ローレル賞は9番人気(3着)。東京2歳優駿牝馬は7番人気という評価。レースでは外枠を引いたもののソツのない運びでゼロアワーの側につける形。3コーナーでゼロアワーが動き出したため、仕掛けをワンテンポ遅らせてインを攻める形に。結果的にここが勝負の分岐点となり、直線ではロスなく伸びて初重賞制覇。それまでの戦績を踏まえれば全くフロックではなく、実力を出し切った順当な形。前走に続き奇しくも外枠を引いてしまったが、再度ゼロアワーをマークして運ぶ形に持ち込めそう。重賞連勝で桜花賞の最有力候補に名乗りを挙げるかに期待。
▲ウィルシャイン
プラウドフレールと同様に新馬から3連勝。その3連勝目のローレル賞はスタートで後手を踏み後方から。道中も外目に位置していたが、結果的に気分よく運べたのが功を奏して2着のオリコウデレガンスとの差し比べを制して重賞初制覇。当然のことながら東京2歳優駿牝馬はゼロアワーに次ぐ2番人気に推された。道中はロスなく運び、勝負処はプラウドフレールの直後から上がっていく形。しかし、直線で更に加速しようかとする場面で、内か外かどちらに舵を切るかで一瞬逡巡する場面。結果的にこのロスで後れを取ってしまい5着。今回も馬群の捌きが勝負を分けそうだが、先行集団の直後から外目にうまく持ち出せさえすれば一気に形勢逆転の場面もある。
△アメストリス、エスカティア、リヴェルベロ
メンバー中最多勝タイの4勝をマークしているアメストリス。前走まで勝ち星は地元船橋に限られていたが、大井の準重賞・桃花賞で地元以外でも勝ち星をマーク。勝ち時計こそ7着に敗れた東京2歳優駿牝馬時に劣るものの、少頭数の一戦の上にラストで一頭抜け出してからは流す余裕すら感じさせる勝ちっぷり。最後までビッシリ追っていれば時計は詰まっていた可能性だけにさほど気にしなくても良さそう。左回りに替わって改めて真価を問いたい。
エスカティアは北海道で新馬勝ちを収めたが、その後の重賞ではゼロアワーの後塵を拝す格好。南関東へ移籍して東京2歳優駿牝馬でも善戦の6着だったが、前走初めての浦和コースで殻を破った。490キロ近い馬っぷりを誇り、マダマダ伸びシロは十分。何よりも今回と同じ舞台を勝ち切っているのは強味で、ゼロアワーに借りを返せるのか期待が高まる。
経験値という点ではメンバー中最多キャリア10戦のリヴェルベロ。浦和コースでは牡馬相手のルーキーズサマーカップ2着に前々走の牝馬特別1着。園田に遠征したり前走は交流重賞に出走したりとあらゆる可能性を模索しているが、現状ではスピードを遺憾なく発揮できる千四辺りがベストの印象。若干強行軍のきらいはあるが豊富なキャリアを武器に応戦する。
(ケイシュウNEWS:石井 一治)