ダートグレード競走：JBCレディスクラシック（JpnI）2020

　マルシュロレーヌの中心は動かない。初ダートだった２走前の小倉1700メートルの桜島ステークスでは上がり35秒0の末脚を駆使して衝撃の内容。初ナイターで不良馬場、１番人気に推されながらも不安材料があった前走のレディスプレリュードではそれらの不安を物ともせずに快勝と、一気にダート交流重賞の牝馬路線の主役に躍り出た。今回は前走と同じ舞台だし、まだまだ上積みが見込めるだけに更に時計は詰まるはず。勝ち方が焦点で２着争いが争点。

　相手筆頭に挙げたいのはファッショニスタ。今回は７月のスパーキングレディーカップ１着以来の競馬となるが、間隔が開いても力は出せるタイプで不安は全く感じない。昨年は３着だったが、これは浦和1400メートルだっただけに適性の差が出ただけ。同じ舞台で行われた今年１月のＴＣＫ女王盃では４着だったが、昨年のレディスプレリュードではタイム差なしの２着だったし、大井1800メートルの適性は十分に示している。今回は主戦を欠くが、騎乗経験がある北村友騎手なら大きなマイナスにはならない。

　マドラスチェックは前述の今年のＴＣＫ女王盃の勝ち馬。休み明けだった２走前のブリーダーズゴールドカップでは逃げて息切れしてしまったが、前走できっちり変わり身を見せたし、関東オークス２着などあるが、現状では大井1800メートルがベストは間違いない。対マルシュロレーヌで勝負付けが済んでしまった感は否めないが、こちらもまだまだ良化が見込める大型の４歳だけに再度前残りの展開になれば上位争いも可能。

　プリンシアコメータは今回と同じ舞台で行われた17年の２着馬で、18年のレディスプレリュードでは勝利を収めている。その他にも交流重賞３勝と実績は十分だし、前々で攻める取り口も安定している。展開に左右されないのは強味で今回も大きな崩れはなさそう。

　レーヌブランシュは今年の関東オークスの勝ち馬。その後はブリーダーズゴールドカップ3着、レディスプレリュード4着だが、そろそろ古馬相手の競馬にも慣れる頃。今回は前2戦に比べれば気楽な立場だけに、思い切った競馬ができるようなら面白い。

　地方勢で取り上げたいのはダノンレジーナ。地方移籍後は13勝、2着2回、3着1回と抜群の安定感を誇っており、前走のサンタアニタトロフィートライアルでは2着だったが、A2下の条件だったにも関わらずオープン並みの好メンバーが揃っていた。ここを目標に更に力をつけているだけにアッと言わせるシーンがあってもおかしくはない。


(勝馬　小栗啓裕)

ダートグレード競走「JBCレディスクラシック（JpnI）」は、ジャパンブリーディングファームズカップ（略称：JBC）における競走のひとつで、アメリカのブリーダーズカップを参考に2011年より設立されたレースです。毎年持ち回り開催となっていますが、今年は大井競馬場1,800mが舞台。昨年はJBC初開催となった浦和競馬場1,400m戦で、ヤマニンアプリメ号がそのスピードを武器に3コーナーから果敢な攻めを見せゴール前で差し切り、見事初のJpnIタイトルに輝きました。