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【開催見解】盛岡競馬(2021/10/3~12)

盛岡・水沢

2021年10月02日競馬情報

 令和3年度の第8回盛岡競馬は10月3日から前半3日間、10月10日から後半3日間の計6日間開催される。

 

 前半週の最注目レースは初日(3日)に行われる、3歳馬による地方全国交流重賞『第34回ダービーグランプリ(M1)』ダート2000m。フルゲート=16頭に対して登録馬は14頭。
 今年は1着賞金が2000万円に増額。昨年の8頭から10頭に拡大された他地区枠にはこの世代の地方競馬を代表する錚々たる顔ぶれがエントリー。ファン必見のメンバー構成となった。

 まず6頭エントリーの南関東勢。短距離路線に向かった東京ダービー馬・アランバローズ、ケラススヴィアとの2頭出しを避ける形で回避した羽田盃馬・トランセンデンス以外の有力3歳馬がすべて盛岡へ矛先を向けてきた格好。
 船橋のキャッスルトップは下級条件から4連勝でジャパンダートダービー(Jpn1)を戴冠。12番人気とまったくのノーマークではあったが、中央馬相手に堂々と逃げ切った。秋初戦の前走・戸塚記念(川崎2100m)はプラス12㌔の馬体、道中のマークもキツく、6着と敗れたが、3コーナーで捕まりながら、勝ち馬から0秒9差なら、逃げ馬としては僅差の部類。すいすい逃がしてもらえるようなら、そのまま押し切る可能性も。
 同じく船橋のギャルダルはその戸塚記念で前記・キャッスルトップを3角で捕まえて先頭。しかしゴールまで踏ん張り切れず、0秒2差の4着。初めて連対から外れたが、昨年の12月デビューで、ここまで僅か7戦のキャリア。まだ重賞勝ちがないが、東京ダービー(大井2000m)ではアランバローズに3/4馬身差まで迫った素材。叩いた上積みと伸びしろを考えれば、ここで初タイトルのシーンも十分に考えられる。
 ジョエルも船橋所属。クラウンカップ(川崎1600m)を勝って臨んだ東京ダービーは2着のギャルダルからクビ+3/4馬身の4着だったが、前走の戸塚記念ではギャルダルにハナ差先着した。この他にも8月の地方全国交流・黒潮盃(大井1800m)では58㌔を背負って5馬身差の圧勝。この馬も当然有力候補の1頭。
 船橋4頭目はギガキング。ここ3走が東京ダービー6着→ジャパンダートダービー10着→戸塚記念5着。もうひとつだが、その前の5月の東京湾カップ(船橋1700m)では前記・ギャルダルより1㌔重い斤量で5馬身差で楽勝している。また、昨秋には道営所属馬として南部駒賞(盛岡ダ1600m)に遠征。好メンバー相手に直線差し切り勝ちを演じており、左回りの広いコースが向いている印象がある。
 大井のセイカメテオポリスは京浜盃(大井1700m)6着→羽田盃(大井1800m)5着→東京ダービー13着→ジャパンダートダービー11着。結果こそ芳しくなかったが、今回のメンバーで唯一クラシック路線をフル参戦。初重賞制覇となったのが前走の戸塚記念。ゴール際中を割って、前記・船橋勢4騎を一刀両断した。もともと鎌倉記念(川崎1500m)2着など、その末脚は高く評価されていた馬。先行勢がヤリ合うようだと、再びこの馬の出番となる。
 浦和のケラススヴィアはデビューから無傷の4連勝で東京2歳優駿牝馬(大井1600m)を快勝。桜花賞(浦和1600m)、東京プリンセス賞(大井1800m)を勝ち、関東オークス(Jpn2)は中央馬相手に惜しくも2着に敗れたが、依然として連対を外していない、牝馬2冠馬。関東オークスを勝ったウェルドーンは次走・ジャパンダートダービーに駒を進めて、キャッスルトップからアタマ+アタマ差の3着と勝ち負けを演じており、牡馬のトップ級とは初対戦となるが、通用しても何ら不思議はない。
 道営のラッキードリームは今シーズンは3戦のみ。北斗盃(門別1600m)→北海優駿(門別2000m)→王冠賞(門別1800m)を使われて、見事に道営3冠を達成した。2歳時にコスモス賞(札幌芝1800m)8着、全日本2歳優駿(Jpn1)10着。遠征で結果が出ておらず、輸送競馬への不安が指摘されるところだが、JBC2歳優駿(Jpn3)ではその後南関東で活躍することになるトランセンデンス、ブライトフラッグ、ギガキングらを抑えて優勝しており、能力的には南関東勢にも何ら臆することはない。
 同じく道営のリーチは3冠②②③着。ラッキードリームの壁は厚かったが、昨年10月には鎌倉記念に遠征してセイカメテオポリスやジョーロノといったところに快勝しており、こちらも南関東勢と互角の素材であることは証明している。
 兵庫のシェナキングは菊水賞馬。兵庫ダービー、そして前走の西日本ダービーでは宿敵・スマイルサルファーに競り負けたが、金沢に遠征してMRO金賞を制するなど、決め脚は非常に鋭い。初の左回りをこなせるようなら直線長いコース形態はプラスに作用するだろう。
 金沢のベニスビーチはMRO金賞でシェナキングとクビ差の2着のち、前走のサラブレド大賞典で重賞初制覇。この春は水沢に在籍し、岩手のトップ級には歯が立たなかったが、それからどのぐらい成長しているのか興味津々。
 地元勢。マツリダスティールはこれまでダートは僚馬・リュウノシンゲンにまかせて、主に芝を使われてきたが、トライアル・不来方賞(盛岡ダ2000m)を2着馬に2秒6差の大差勝ち。レース内容は前半1000mが64秒1、後半1000mが64秒1の逃げ切り。淀みないラップを刻んで、1番人気のリュウノシンゲンは3コーナーで脱落、2番人気のゴールデンヒーラーは4コーナーで付いて行けなくなったほどで、この馬の高い心肺機能が際立つ一戦となった。勝ち時計の2分08秒2は前週のビューチフルドリーマーカップでラインカリーナがマークした2分06秒8に劣るが、この週とはだいぶ馬場差があり、換算すると不来方賞の方が優秀。ラインカリーナが牝馬のダートグレード戦線で活躍していることも思えば、今回南関東勢とも好勝負が可能と思われる。

 

 後半週の最注目レースは5日目(11日)に行われる、3歳以上オープン馬によるダートグレード競走『第34回マイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)』ダート1600m。フルゲート=16頭に対して登録馬は25頭。
 このレース3年連続出走となるのが2頭。アルクトスは一昨年が2着で、昨年はレコード勝ち。サンライズノヴァは一昨年の優勝馬で、昨年は4着。ともにここが秋初戦となるが、南部杯における実績を考えると今年も主力になりそう。
 2年連続出走となるのがインティとワイドファラオ。インティは昨年は休み明けで9着と凡退だったが、この1年はチャンピオンズカップ(G1)3着、フェブラリーステークス(G1)6着、かしわ記念(Jpn1)3着。今年は期待できそう。
 これに盛岡は初登場となる今年のフェブラリーステークスの2着馬・エアスピネル、今年のかしわ記念の2着馬・ソリストサンダー、ダートグレード5勝馬・サクセスエナジーが加わる形。今年も激戦になりそうだ。


(文:エイカン 内山達明)

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