2024年08月08日競馬マスターズ
ブロードキャスターの坂田博昭です。
今回は、笠松競馬場からお送りします。(取材日:8月1日木曜日)
その業務エリアからスタンドの方向を望む
多くの競馬場では、スタンドとか観覧席の並びに、馬がスタンバイする装鞍所とか、騎手が仕事の準備をする検量室とかがあるのですが……笠松競馬場は、そうした業務エリアがスタンドの並びではなく、少し離れた1~2コーナー付近にあります。私たちも取材にお邪魔したときには、スタンドからそちらの方まで歩いて移動します。
このように晴れた日は、その移動もとにかく暑くて……
毎度おなじみ。装鞍所の気温計。昼前に「38℃」になってから、日が傾いてくるまで、ずっとこの数字のままでした(汗)。
丁度月の変わり目。8月1日から騎手免許を交付されたこの人の、復帰初日となりました。
筒井勇介騎手。この日、復帰後最初の騎乗となる第2レースの前に、改めて話を聞きました。 「元通りに乗れるかどうか不安もありますが、あまり気負うことなく、以前乗っていたときと同じように乗れればいいですね。」
復帰に関して、第一声でこのように話したあと、続く言葉にはまた少し異なるニュアンスも含まれていたように感じました。
「心機一転、ですね。勝負服も替えましたし。」
周囲の人々の受け止めはおおむね「ケガか何かで休んでいて、久しぶりに復帰したのと変わらない。」という感じでした。この間も厩務員として、競馬場では働いていて調教には乗っていたわけですから。
とはいえ、3年半ぶりは期間としてはとても長いし、この間色々なことがあったとは言え、結果的には「必要のない」ブランクだったことも事実。
「『やりきっていない感』でしょうか」
いままたこうして騎手としての道を歩む彼が、その動機をこんな言葉で表現しました。
「例えば、もし(2019~20年に)リーディング獲って、それでよし、という気持ちになっていたら…騎手には戻っていなかったかもしれないなと思います。」
そこには、彼の中にまだ、「騎手として、技術において突き詰めたいものがある」という気持ちが残っていたから。
「デットーリだって、ムーアだって、時を追うごとに、見るたびに乗り方など変わっているのがわかります。そのレベルの騎手ですらそうなのだから、自分にもやれることはまだあるのではないかと。その思いはずっと持っていましたね。」
そして「騎手として技術を追求することには、終わりがないので。」 とも。
「この3年間も、厩務員とは言ってもほぼ「攻め専」でしたが、馬に触る機会は騎手よりも多かったですし、様々な人や馬との出会いもありました。騎手として乗り続けていたらなかった経験も、数多くありました。」
レースに出ていなかった間の経験も前向きに捉えつつ、新たな、と言っていいのかどうかわからないのですが……とにかくまず敢えて自ら「終わりのない」世界に戻ってきた彼の姿を、これからも追い続けたいと、心から思いました。
取材に出かけたこの日は、10Rのホーリーホックで2着が最高。5鞍乗って勝利はありませんでしたが、翌日には2勝を挙げました。やはりレースの中では目の離せない存在になりそうです。
右手前の後ろ姿は、渡邊竜也騎手。レースの後「鞍、磨いておきました!」と筒井騎手にワンパンチ(笑)。筒井騎手リーディングの2年間は、渡邊竜也騎手が2位でした。またこのふたりが、リーディングを争う時代になるのでしょうか。興味は尽きません。
この日のメインレースは、牝馬の重賞・撫子争覇(1400m)。9月5日に名古屋で行われる秋桜賞のトライアルとして行われました。
先月、牡馬混合の重賞・サマーカップを勝ったエイシンヌウシペツや、昨年の当レース勝ち馬レイジーウォリアーが上位人気に推されていましたが、勝ったのは……
ペップセ 名古屋・今津勝之厩舎所属
昨年、笠松で3連勝で岐阜金賞を制した、無類の「笠松巧者」。いるんですよね……名古屋所属だけど、笠松が断然合う、っていう馬。これで笠松での重賞は3勝目。 笠松での通算成績は実に、7戦6勝となりました。
主戦が負傷欠場中で、今回は大畑雅章騎手がテン乗り。見事結果を出しました。大畑雅章騎手の勝利騎手インタビューの模様は、 笠松競馬オフィシャルYoutubeライブのこのあたりから。
今津勝之調教師(写真左からふたりめ)によると、「状態は、夏負け気味であまり良くなかった。」とのこと。次走は、権利を取った秋桜賞よりも先に、2週間後の8月15日木曜日に行われる笠松のくろゆり賞(1600m)に向かうそうです。地方全国交流競走で、各地から強力な遠征馬の参戦も見込まれる戦い。相手は強くなっても、笠松巧者振りをいかんなく発揮してほしいところです。
そろそろ、暑さも和らいでくれるといいのですが……。