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「灼熱のダービー」 岐阜金賞【競馬マスターズ 坂田博昭】

笠松

2024年08月21日競馬マスターズ

ブロードキャスターの坂田博昭です。今週は、笠松競馬場から。東海版「真夏のダービー」岐阜金賞が行われた、8月14日水曜日に出かけてきました。

青い空。強い日差し。最近、笠松に来るときには本当に天気が良くて……困る(苦笑)。

お盆休みなので、この開催は例年、多くの人が競馬場に訪れる時期。このイベントのトークステージの会場は、開門直後から最前列を追っかけの皆さん方が埋めていました。お疲れ様です!残念ながらイベント風景は撮影NG……。

地方競馬教養センターから、騎手過程入所者募集のプロモーションで来られていました。本物の木馬まで持参して、体験型のブース!

大人も子どもも、体験可能。立ち寄った皆さんそれぞれに、「こういうものなんだ」ということを体験してました。皆さん、格好がサマになってる。

教養センターの教官で元騎手の江川伸幸さん(右)と、養成課の森和平さん。この日は、ほかにも門別と、代替開催の盛岡にも同じようなブースが出ているとのことでした。お盆開催、教養センターの皆さんも全力で騎手過程のプロモーションに尽力されていたそうです。

お盆時期の開催は、やはり人が集まる。チャンス、ですよね。色んなことを、集まった人々に伝えていくチャンス。地方競馬の競馬場は、まだそういうことを生かし切れていないように思います。せっかく人が集まる「ポテンシャル」があるのだから、もっと色んな主体が集まって、色んなことをやればいい。そこに集まる人々に働きかけることが出来る場所になっていけば、それこそ競馬場のサステイナビリティにつながる。そんなことを、もっとどんどんやっていけるといいのですけれどもね。

毎度おなじみ、装鞍所の気温計。とうとう39度の数字を見てしまいました……。

検量室前に来たら、この週の開催からレース騎乗を再開した、この人に会えました。

高木健騎手 59歳 8月1日付けで騎手免許を再取得していました。

「(向山)牧は1つ下なだけだし、馬渕も2つ下だし。(かつて笠松にいた)川原さんだってまだ乗ってるしね。名古屋には丹羽さんもいるし。」

教養センターでの騎手免許試験の時には、同時に試験を受けた小牧太騎手とも話をしたとのこと。

話をすれば、なにか大きな意気込みを語るわけでもない彼。でも、そんな中にも「まだまだ」という気持ちも伝わる感じがしました。8月12日には、復帰初戦で久しぶりの1勝を飾りました。

この1年ほどの間、彼が厩務員として調教に乗っている間も、検量周りの話の中では、彼の名前が何度となく出ていました。若い騎手がなかなか扱えない難しさのある馬を、彼が調教で乗りこなして、教え込んでいたと。ベテランらしい存在感が、実戦の中で、ファンの目に見える形でこれから現れてくるのではないでしょうか。

この8月14日の10Rで、笠松のエース・渡邊竜也騎手が、 通算900勝達成!

「これで1000勝が見えてきました。」

やはり1000の数字は、大きな区切りと捉えている様子が窺えました。実は…少し以前まで、岩田康成騎手や笹川翼騎手が達成した「有史以来」(史上、ではないのは、昔の記録が補完整理されておらずわからないため)のスピード1000勝達成記録を更新出来るのではないか、という期待感が周囲にはありました。

「ケガなどで、思ったよりも時間がかかってしまいましたね。」

恐らく、思い起こせば山あり谷ありの、ここまでの道のりなのでしょう。

いずれにしても、ここからは「大台」に向けてのカウントダウン。まずケガなくご安全に、そして活躍を重ねての達成を期待したいです。

メインレースは3歳の重賞・岐阜金賞(1900m)。歴史的経緯を紐解いても、東海地区には「三冠レース」の概念はそもそもない、というのが定説。とは言え、春の名古屋の駿蹄賞と東海優駿を両方制したフークピグマリオンの登場は、戦いを大いに興味深いものにしました。

岐阜金賞のクリスタルのトロフィー

向正面からコースを1周半するレース。最初の正面の位置取りはこのような感じ。

ブルーチーズとコールミーメイビーが前を取ったあと、「思ったより位置が取れた」というサウンドノバ(10番橙帽青服)が3番手。注目されたフークピグマリオン(9番橙帽橙服)は、位置を探りながら結局前に繰り出して、外を回る形の4番手。一方、2番人気のキャッシュブリッツは、位置が取れなかったのか、この作戦だったのか……先団の後ろの5番手。フークピグマリオンより後ろの、この位置は苦しい。

勝負所で、フークピグマリオンが進出。これなら楽勝、と思われたのですが……

やはり…東海優駿の時のように、抜け出すと遊んで外へ。懸命に体勢を立て直そうとする今井貴大騎手。

内ではサウンドノバが渋太く粘っており、ゴール前は大接戦となりました。

最後は、わずかに「ハナ差」 外のフークピグマリオン優勝!!

サウンドノバの大原浩司騎手の、この残念そうな表情……。そして、フークピグマリオンの今井貴大騎手は、馬を下りて安堵の表情を見せました。

今井貴大騎手の勝利騎手インタビューの模様は、 笠松競馬公式Youtubeライブのこのあたりから。

宇都英樹調教師によると、9月3日日曜日の盛岡・不来方賞にも、一応登録はしてあるとのこと。こういう馬ですし、条件が変わることと相手が強くなることはむしろプラスだと思うのですが……少々夏負け気味のところがあり、9月19日木曜日の名古屋・秋の鞍ともども、使うかどうかは馬の状態を見ながら、とのこと。状況次第では、9月のレースはパスして先々に備える可能性もありそうです。

笠松競馬場の正門前。珊瑚樹(さんごじゅ)が、鮮やかな赤い実をつけていました。もうすぐ、秋なのかな。

次回は、名古屋競馬場から。