【開催見解】金沢競馬 県営第12回[通算第14回]後半(10/1・3 重賞:金沢プリンセスカップ、白山大賞典[JpnIII])

2017年9月30日

 

 2017年度・第14回の金沢競馬は前半週が終了。残すは後半週、10月1日(日)、3日(火)の2日間。

 

 10月1日(日)のメイン11Rは「重賞 石川テレビ杯 第12回金沢プリンセスカップ(JRA認定・JBC協会協賛シビルウォー賞)」(2歳牝馬・1400m・1着賞金250万円)

 重賞が新設された関係で2016年から実施時期が早くなり、距離が1400mに変更された。

 過去5年の優勝馬・勝ちタイム・配当は

 

 

 2012第7回 ガッツオブトップ(5番人気)…松戸政也 重・1分38秒3

        馬単12440円 3連単68570円

 2013第8回 フリオグレイスー(1番人気)…吉原寛人 重・1分37秒8

        馬単340円 3連単470円

 2014第9回 エムティサラ(2番人気)…青柳正義 不良・1分37秒9

        馬単5870円 3連単132410円

 2015第10回 グランスーリール(4番人気)…畑中信司 重・1分38秒1

        馬単71690円 3連単354510円

 (※2015年までは1500m)

 2016第11回 ヴィーナスアロー(1番人気)…田知弘久 不良・1分32秒6

        馬単400円 3連単820円

 

 第1回(10月25日)は東海・近畿地区との交流競走。第2回(11月7日)は東海・近畿・中国地区交流(他地区出走なし)。第3回~第5回は正月開催に地元馬のみで行われ、2011年の第6回から11月に戻って、2012年の第7回からは他地区デビュー馬も出走可能なJRA認定戦に。2014年からは兼六園ジュニアカップと入れ替わって10月に行われ、他の重賞と違って転入初戦の馬も出走可能に。そして2016年は9月に移動して距離が1400mに。今年は1開催分だけ遅く行われることに。

 絶対的な存在がいると平穏な決着だが、抜けて強い馬がいなかった第3回と第4回は人気薄が逃げ・先行で波乱を演出。2010年は1番人気馬が順当勝ちも2着が7番人気、2011年は人気2頭の決着も3着が6番人気で小波乱。2012年はハイペースの前崩れ展開となり高配当。2013年は道営からの移籍馬が1~3着独占で超平穏決着。2014年は1番人気が4着に敗れ、2番人気が勝利も2~3着が人気薄。そして2015年は大荒れ、2016年は人気通り。その世代の勢力図によって堅いか荒れるか両極端の重賞だ。

 

 今年のメンバーは

 1番 ロンプフェイス 吉原寛人(55キロ)

 2番 サツキブライド 栗原大河

 3番 アイムホーム 葛山晃平

 4番 シグラップエール 吉田晃浩

 5番 キャッスルリゲル 藤田弘治

 6番 ブラックセドナ 田知弘久

 7番 ゴクロウサマ 平瀬城久

 8番 カトリーヌエミュー 青柳正義(55キロ)

 9番 シオジスター 米倉知

 10番 ケンロククィーン 西森将司

 11番 マナレア 池田敦

 12番 ウインドエスカリエ 桑野等

 

 

 今年の2歳世代は突出した馬がおらず、トップクラスの競走では毎回勝ち馬が違うという混沌とした状況。例年連対傾向の道営1勝馬も転入してきていない。傑出馬不在のまま重賞戦線に突入し、ここ2回の認定戦が超ハイペース、前走と同じ騎手が12頭中4頭しかいない(初騎乗5頭)。上位候補は7~8頭いるものの、「変わり身」「新顔」に注目すべき!?

 前開催の新馬戦を大差勝ちアイムホームの能力が上回ると見た。割と時計の出る馬場を考慮してもデビュー戦で1400m・1分32秒4は速い。これより速い持ち時計のある馬は1頭だけ。馬体の良さを加味しても、いきなりの重賞挑戦でも壁があるとも思えない。不安は楽な先行争いにはならないであろうメンバーで揉まれて経験のなさが出た時だけ。

 認定戦5着→9着のシオジスターも見直したい。前々走は競られての展開苦、前走はスタートでつまずいた。逃げた時に限れば好時計の強い2勝。中間はゲートからこれまで以上の追い切り消化。先手を奪えれば一変していい。

 前回の認定戦を快勝カトリーヌエミューは堅実タイプで崩れはなさそう。好位インから器用に立ち回れるのが今の馬場では心強い。斤量1キロ増がどう影響するかだけ。

 認定戦1着→4着のロンプフェイスも非凡な末脚が魅力。前走こそ差し遅れた感じの4着だが、攻めを強化して態勢的にも後退はなく、うまく捌ければ面白い。

 認定戦2着→2着のシグラップエールも現状は当然上位候補。展開が向いている面もあるとはいえ、しっかり差し込めるまで力を付けたのも間違いない。引き続き展開一つ。

 素材では負けていないブラックセドナにも警戒すべき。前走は遅れ気味のスタートの上に両サイドの馬に寄られた影響大。それでも一旦は追い上げる姿勢は見せていた。初の中1週で追い切りを強化してきた点にも注目。

 人気で認定戦3着→10着ウインドエスカリエもここ2走は展開負け。落ち着いて運べば巻き返し可能。

 

 10月3日(火)のメイン11Rは「農林水産大臣賞典 第37回白山大賞典」(3歳以上JpnIII・2100m・1着賞金2100万円)。金沢競馬唯一のダートグレード競走。1997年の第17回から現在の中央・地方交流のGIII(JpnIII)に。

 過去5年の優勝馬は…

 

2012第32回 ニホンピロアワーズ(JRA・牡5)57キロ…酒井学 不・2分12秒9

2013第33回 エーシンモアオバー(JRA・牡7)57キロ…岩田康成 良・2分13秒6

2014第34回 エーシンモアオバー(JRA・牡8)57キロ…岩田康成 重・2分12秒5

2015第35回 マイネルバイカ(JRA・牡6)54キロ…柴田大知 良・2分14秒9

2016第36回 ケイティブレイブ(JRA・牡3)55キロ…武豊 良・2分15秒1

 

 地元馬のみで行われた2007年を除く過去19回すべてJRA馬が優勝(2着も11回)。のちのGI馬イングランディーレ、タイムパラドックス、スマートファルコン、ニホンピロアワーズも歴代の勝ち馬に名を連ね、2016年の勝ち馬ケイティブレイブも今年の帝王賞を勝った。意外かもしれないが「出世レース」になっている。

 他地区地方馬は2着4回(1998年の高知マルカイッキュウ、2000年の笠松ハカタビッグワン、2002年の笠松ミツアキサイレンス、2014年の船橋サミットストーン)、3着5回。地元金沢馬は2着4回(2004年エイシンクリバーン、2006年ビッグドン、2010年ジャングルスマイル、2012年ナムラダイキチ)、3着1回(2004年ホシオー)。他のダートグレードに比べると地方馬が健闘していると言える。

 3連単導入後13回(2007年を除く)中4回が万馬券決着。2009年こそはJRA馬の1~3着での21490円だったが、2004年(11190円)、2006年(128870円)、2010年(14810円)はいずれも2着が金沢馬という共通点(2004年は3着も金沢馬、2006年は他地区地方馬が3着)。1~4番人気のJRA馬(美浦・栗東は不問)が勝つ傾向にはあるが、地方馬でヒモ穴狙いは可能なレースだ。

 

 

 今年の出走予定馬10頭と騎乗予定騎手は

 インカンテーション(JRA栗東)56キロ 岩田康成

 クリノスターオー(JRA栗東)56キロ 幸英明

 コパノチャーリー(JRA栗東)54キロ 和田竜二

 タガノディグオ(JRA栗東)55キロ M.デムーロ

 ナムラアラシ(JRA栗東)54キロ 松山弘平

 カツゲキキトキト(愛知)54キロ 大畑雅章

 アダムズアップル(笠松)54キロ 大原浩司

 マズルファイヤー(笠松)54キロ 佐藤友則

 マイネルリボーン(金沢)54キロ

 ミスアバンセ(金沢)52キロ

 

 昨年のJRA勢は3~5歳のフレッシュな顔ぶれだったが、今年は7歳の実績馬2頭が参戦。重賞での実績はない2頭も前走勝ち、3歳トップクラスの馬も参戦。そしてこの路線でダートグレード制覇に最も近そうな地方馬も。今年も興味深いメンバー構成になった。

 インカンテーションが56キロなら敬意を表すべきだろう。これまでGIII4勝、一昨年フェブラリーS2着はコパノリッキーと1/2馬身差で実績断然。一昨年5月の平安S勝ち後の骨折で低迷したが、今春はマーチSで久々の勝利、初の地方参戦だった前走・かしわ記念2着で完全復活を印象づけた。基本的に休養明けを叩いて良化の傾向あり、5ヵ月ぶりがどう出るかだが、3ヵ月ぶりで重賞勝ちもあるし、ここに向けて8月からしっかり乗り込まれている。これまでより力の要る当地でも、逃げか内をロスなく立ち回れれば実力を示すはず。

 クリノスターオーは一昨年春のアンタレスS以来勝ち星から遠ざかっており、休養明けの今季は物足りない成績ではあるが、前々走マーキュリーCでは一応の力を示した0秒2差3着、前走は輸送も続いて気難しさを出す展開も応えた。地方でも2度の好走歴。力の要るコースも悪くなく、スンナリの展開なら巻き返していい。

 今の最内有利な馬場にマッチしていそうなのはコパノチャーリー。前走は番手でも結果を出したが、自分のペースで逃げると強い馬。ここはそれが叶いそうな顔ぶれ。初の重賞挑戦で3走前は大敗しているが、グレイトパールが強すぎて先行馬総崩れのレースでもあった。初の地方と距離でも楽しみなコパノリッキーの弟。

 3歳馬タガノディグオはスタートや出脚に課題があって前走のようなこともあるが、兵庫チャンピオンシップ勝ちとジャパンダートダービー3着で地方適性と能力は証明済み。初の古馬相手で斤量も恵まれているわけではないが、ポジションも良くなりそうな顔ぶれで力を出し切れば通用。

 昨年は6着に終わったカツゲキキトキトだが、その後はダートグレードで名古屋GP3着、佐賀記念4着、名古屋大賞典3着。地元戦とはいえ3月のケイティブレイブから0秒4差で悲願達成にグッと近づいた印象も受けた。南関東馬が相手の前走2着で上向いての参戦だけに、今の馬場に合ったロスない立ち回りができれば面白くなりそう。

 

(文:競馬カナザワ 大井 明洋)

 

金沢 カナザワ

 

 

 

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